「狛ねずみの社」として知られる、哲学の道の「大豊神社」 へ

春の桜や椿、夏の新緑やアジサイ、ゲンジボタル、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の美しい表情を見せる京都屈指の散歩道「哲学の道」。この道の南端を少し北上した場所にある「大豊神社」にも季節の花が咲き誇り、のどかな雰囲気に包まれています。哲学の道の散策とあわせて、ぜひ参拝してみてはいかがでしょうか?


大豊橋を渡り、大豊神社へ。 ゆるやかな参道をしばらく歩くと、大豊神社が見えてきます。


大豊神社は、少彦名命(すくなひこなのみこと)、菅原道真公、応神天皇(おうじんてんのう)の3柱を祀り、縁結びや健康長寿、学業成就、安産などのご利益があることで知られています。
本殿の右手には、末社である「大国社」があり、縁結びの神様として知られる大国主命(おおくにぬしのみこと)が祀られています。この大国主命をねずみが救ったという神話に由来して、境内の大国社には全国でも珍しい「独(こま)ねずみ が鎮座しています。 豊穣などを表す水玉(酒器)を手にするねずみには無病息災や健康長寿、子授けや安産のご利益があるとされ、学問を意味する巻物を持つねずみには、学業成就のご利益があるとされています。
思わず笑みがこぼれる可愛らしいポーズと表情の狛ねずみは、椿の花でおめかしされていることもあるとか。特に2020年は子年にあたるため、年明け早々には参拝者で長蛇の列ができていたそうですよ。普段はひっそりとしていて、心静かにお参りすることができます

狛猿、狛鳶、狛狐に狛巳、狛犬もお出迎え


「大国社」の独ねずみのほか、災難除けの「日吉社」に狛猿(さる)、火伏せの「愛宕社」に狛鳶(とび)、商売繁盛の「美田稲荷社」に狛狐(きつね)がそれぞれ鎮座しています。

また、金運恵授にご利益があるとされる狛巳(へび)の姿も見られ、参道の鳥居前には狛犬(こまいぬ)がいます。


かつては「椿峰山天神(ちんぽうざんてんじん)」と呼ばれていたことも


春の枝垂れ紅梅や桜、椿などさまざまな花の名所でもあり、季節の山野草も見どころ。 平安初期の仁和3年(887)、宇多天皇の病気平癒を祈願して、勅願を受けた藤原淑子が創建したと伝わる大豊神社ですが、創建当初は神社の背後にある椿ヶ丘の山中にあり、椿ヶ峰をご神体としていたといわれています。現在の場所へ移されたのは、寛仁年間(1017~1021)のことだとか。

手水舎には「椿ヶ峰のご神水 が湧き、神社の名前のとおり、大いに豊かに清めることができそうです。

哲学の道沿いにある「大豊神社御旅所」


5月に行われる氏神祭の還幸祭では、剣鉾や御輿の行列がこちらの御旅所を出発し、南禅寺や永観堂などの前を練り歩きます。 ※2020年はCOVID-19の影響で中止になる可能性があります。
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大豊神社(おおとよじんじゃ)
●京都市左京区鹿ヶ谷宮ノ前町1 ●市バス停宮ノ前町から徒歩5分