京都の街なかと嵐山を繋ぐ路線として知られる嵐電は、紅葉スポットの渡り歩きを可能にする強力なツールです

嵐電の愛称で親しまれる京福電鉄。嵐山への主要アクセスであるだけでなく、龍安寺や仁和寺、広隆寺や鹿王院等々を繋ぐ路線は、右京エリアの主要観光スポットを総なめにしているかのようでもあります。自由に乗り降りできる1日乗車券を使えば、時間の許す限りでの紅葉スポット数珠つなぎも可能になってきます。

四条大宮から嵐山に向かう鉄道が「嵐電(らんでん)」です。この名前を聞くと、嵐山に行く路線なのだから、嵐山電鉄(あらしやま〜、らんざん〜)などが正式の名前で、それを省略しているのだろうと思う人も少なくないようですが、それは誤りです。正式名称は、京福電気鉄道であり、嵐電はその愛称という位置づけになっています。 歴史的なところを繙けば、明治時代に嵐山電車軌道という鉄道会社が四条大宮−嵐山間で鉄道を敷設、紆余曲折を経て京福電鉄がその路線を継承、嵐電は嵐山電車時代の通称がそのまま利用されているものという事情があるようです。 そうした細かい話は措くとして、現在の嵐電は、すなわちイコールで京福電鉄のことであり、京福電鉄の路線で嵐山と結びつかない北野線も含めて嵐電の愛称で呼ばれています

紅葉スポットを繋ぐ観光路線

この嵐電こと京福電鉄ですが、メインの路線は旧嵐山電車の路線で現在の名称でいうところの嵐山本線です。この路線には、四条大宮、西院、西大路三条、山ノ内、嵐電天神川、蚕ノ社、太秦広隆寺、帷子ノ辻、有栖川、車折神社、鹿王院、嵐電嵯峨、嵐山の合計13の駅があります。観光スポット名が駅名になっているところからも窺われるように、観光スポットを繋ぐような形で走るのが嵐山本線です。 もう1つの路線、北野線には、北野白梅町、等持院、龍安寺、妙心寺、御室仁和寺、宇多野、鳴滝、常盤、撮影所前の9駅が含まれ、撮影所前駅の次で嵐山本線の帷子ノ辻駅に連絡する形となっています。こちらも等持院や龍安寺のように、観光スポット名がそのまま駅名に用いられているところが少なくありません。すなわち、嵐山本線同様、観光スポットを繋ぎながら走る路線なのです。紅葉シーズンの事情を考えると、嵐山は言うに及ばず、北野天満宮、龍安寺、仁和寺、車折神社、鹿王院など有名な紅葉スポットをハシゴするには格好の路線と言えます。

嵐電1日フリーきっぷ

さて、そうすると気になってくるのが運賃。ところが嵐電は均一運賃を導入しており、ひと駅で降りても、四条大宮から嵐山までの13駅を乗っても、220円で変わりません。もし本当にハシゴをするのなら、降りるたびに220円を支払うだけでOKになるわけです。いや、ちょっと待って、それって割高じゃないと思った方、ご明察。 確かにひと駅だろうが13駅だろうが220円というのは分かりやすいのですが、降車のたびに運賃が課せられるのなら、トータルでは相当な金額になります。そこで登場するのが「嵐電1日フリーきっぷ」(大人:500円/こども:250円)。これを使えば、嵐電沿線のどこでも乗り降り自由となります。ちなみに、嵐電には無人駅が多いのでフリーきっぷを購入できる場所は限られてくるのですが、無人駅で乗車しても嵐山などの有人駅で降車する際にフリーきっぷ購入の旨を告げれば、駅で対応してもらえます。

地下鉄・嵐電1dayチケット

残念ながら嵐電の1日フリーきっぷは昨年に取り扱いが終了しました。ということで仕切り直し、フリーきっぷを買って車折神社、仁和寺、龍安寺、嵐山といったあたりを廻ってみましょう。順序については工夫するにしても、運賃面では乗り降りの回数分だけ運賃が掛かります。しかし人間は欲深いもので、これだけのスポットを廻ることができるようになったのなら、ついでに二条城へも行ってみたいとか考えたりします。二条城はもちろん嵐電沿線ではありませんのでNGなのですが、実は実は「京都 地下鉄・嵐電1dayチケット(1,000円[大人のみ])」なるものが販売されています。嵐電および地下鉄(烏丸線・東西線)の乗降が自由にできるので、こちらを使えば二条城だろうが、京都御所だろうが、醍醐寺だろうが、射程に入ってくることになります。

紅葉スポットを渡り歩く

もちろん1日で廻ることのできるのは時間との相談ということになりますが、鉄道のみの利用で東西南北を経巡るといった弾丸ツアーめいたこともできなくはない、ということです。右京エリアを中心とした観光スポットを繋ぐ鉄道路線で運賃220円均一制を導入している嵐電こと京福電鉄、地下鉄・嵐電の1dayお得なフリーきっぷもありますよ、といったところから、常軌を逸した弾丸ツアーの提案になってしまいましたが、常識の範囲で有名な紅葉スポットのいくつかを渡り歩くにも都合のいい移動手段であるには違いありません。さすがに6箇所7箇所とか言い出すと無茶でしょうが、鉄道による移動であるからには移動時間によるロスは少なくなるはずです。したがって3つ4つぐらいのスポットをまわって最後に夕まぐれの嵐山探訪で〆というのも、あながち難しいプランではなくなってきます。