京都観光の移動手段で、おそらくもっとも強力な味方となるのが地下鉄です。安定して所要時間が安定して読めるのは心強いですし、私鉄など他の鉄道線との連携を工夫すれば、相当の範囲が活動可能エリアに含まれてきます。駅を降りてすぐ、もしくは駅から徒歩圏内のスポットを並べて、地下鉄観光の可能性を考えてみます。
京都観光で地下鉄をメインに使った観楓ツアー(かんふーと言っても中国拳法のあれではありません)をご紹介しましょう。自ら計画を立てて京都を訪れるくらいの人であれば、京都の地下鉄は2本の路線しかないことはよくご存じのことかと思います。地下鉄の応援キャラクター太秦萌は知っていても、路線数までは意識したことがなかったという方がおられたら、この機会に覚えておいてください。
市域を南北に走る烏丸線15駅と東西に走る東西線17駅の32駅です。厳密にいえば烏丸線は北大路駅より北では南北に走るわけではありませんし、東西線も蹴上駅より先は東西に走っているわけではありません(むしろ山科方面では南北に走っています)。しかし、それはそれということにしておいて、わかりやすくするために、南北に走る烏丸線15駅と東西に走る東西線17駅という言い方にしておきます。
烏丸御池駅は両方の連絡駅となっているので実質的には31駅と数える人もいますが、ホームの数でカウントすれば、間違いなく32駅です。
東京や大阪に比べるとはるかに数が少ないところですが、東京や大阪などとは異なって地下の開発がなにかと困難な街なので、地下鉄を網の目にように張り巡らせることができていません。それが地上の交通渋滞の原因にもなっているのですが、その話は置いておくとして、今回は地下鉄を効果的に使うことによっての楽しみ方あれこれです。
京都観光、とくに秋の紅葉の季節となると、どうしても東山の清水寺や東福寺、あるいは嵐山といったところが気になってきます。しかし、それらは地下鉄沿線ではないので、最初の段階ではパスすることになります。
その代わりと言うとおかしな話ですが、宝ヶ池公園の秋(国際会館駅下車すぐ)や府立植物園の秋(北山駅下車すぐ)などは、木々の演出する秋の魅力が存分に味わえる場所です。他にも駅を降りてすぐというのなら、烏丸線の場合は京都御苑(北辺の方なら今出川下車すぐ、南辺の方なら丸太町駅下車すぐ)があります。
一方、東西線の場合は駅を降りてすぐに観光スポットと二条城(二条城前駅下車すぐ)ぐらいですが、徒歩圏内という形で範囲を広げると南禅寺(蹴上駅より徒歩圏内)や平安神宮(東山駅より徒歩圏内)、あるいは勧修寺や隨心院(ともに小野駅より徒歩圏内)に醍醐寺(醍醐駅より徒歩圏内)、さらには蚕の社こと木嶋坐天照御魂神社や猿田彦神社(ともに太秦天神川駅より徒歩圏内)などマイナーなところも数えあげ始めると、地下鉄圏内の観光スポットはかなりの数になります。
このうち、特に紅葉の評判が高いところで絞っていくと、府立植物園、京都御苑、南禅寺、勧修寺といったところでしょうか。
これらに加えて、次に地下鉄と私鉄の連携で行動範囲を広げるパターンを検討してみます。もっとも分かりやすいのは東西線の太秦天神川駅で、京福電鉄(嵐電)の嵐電天神川駅に連絡するケースです。これによって嵐山界隈を守備範囲に含めることができますし、終点の嵐山駅まで行かなくても、広隆寺(太秦広隆寺駅下車すぐ)や車折神社(車折神社駅下車すぐ)、あるいは鹿王院(鹿王院駅より徒歩圏内)がターゲットに入ってきます。
さらにいえば帷子ノ辻駅で北野線に乗り換えれば、仁和寺(御室仁和寺駅より徒歩圏内)や龍安寺(龍安寺駅より徒歩圏内)、北野天満宮(北野白梅町より徒歩圏内)などにも足を伸ばすことが可能となってきます。
これらに対して東山方面になると、清水寺や永観堂が地下鉄・私鉄の沿線とはいいづらくなるのでセッティングは難しくなります。ただし、東福寺は東西線三条京阪駅で京阪本線に乗り換えることでターゲットに含めることができます(東福寺駅より徒歩圏内)。同じことは伏見稲荷大社についても言えることで、烏丸線京都駅でJR奈良線に乗り換え、稲荷駅で下車すれば一の鳥居が目の前に現れます。
この他にも地下鉄を含めて3線を乗り継ぐことで一乗寺や八瀬、あるいは鞍馬方面も可能となるのですが、乗換回数が増えると乗換のことばかりで頭がいっぱいになる恐れもあるので別の機会にまわしましょう。ともあれ、地下鉄を中心にして京福・京阪・JRを効果的に使うことで、京都市内の観光スポットはかなりの部分をカバーすることができるようになります。ちなみに、阪急京都線や近鉄京都線との乗り換えは、烏丸線四条駅や烏丸線竹田駅で可能になりますが、それらは大阪方面や奈良方面に向かう場合に使うパターンです。