心願成就や無病息災を願う 日本最古の庚申信仰の霊場「八坂庚申堂」

大坂の四天王寺、東京の浅草寺と並び、日本三庚申のひとつに数えられる八坂庚申堂。色鮮やかなくくり猿や、「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿など、境内の随所でかわいい猿たちに出会えるとSNSでも人気です。無病息災病気平癒心願成就のご利益でも有名。

日本最古といわれる庚申信仰の寺。中国より渡来した秦氏の守り本尊として、青面金剛(庚申さん)を祀ったことが起源とされています。そもそも庚申とは、庚(かのえ)、申(さる)の日のことをさす言葉。庚申の日の晩、寝ている人間の体から三尺の虫が抜け出し、寿命を司る神「天帝」に悪行を報告すると言われることから、庚申の日には眠らず一晩中願いを捧げる“庚申待ち”が行われました。このほか、年に6回ある庚申日には、無病息災を願うコンニャク炊きやタレコ封じ祈祷など、さまざまな行事が行われて多くの人で賑わいます。 境内のあらゆるところにくくりつけられたカラフルなくくり猿。この猿たちは手足の自由を奪われた姿をしており、人間の“欲望”を表現しています。自分の心の中にある欲を一つ心に納め、祈願すると願いが叶うと言われています。一般的に人は願い事をする場合、一心不乱にその願いを祈願し続ければ叶うとし、神仏に 祈願します。庚申さんでは願いを持ち続けるのではなく、欲望を捨てるその時にその願いは叶うという考えがあるのです。

庚申の日

八坂庚申堂では、年に6日ある庚申の日に庚申待ちと蒟蒻炊き(こんにゃくだき)が行われます。庚申とは干支の「庚(かのえ)」「申(さる)」の日。道教によると人間の体の中には※三尸(さんし)という虫がいて、庚申の日の夜に寝ている人間の体を抜け出しては、天帝にその人間の悪行を告げ口し、寿命を縮めると信じられていました。そこで人々は長生きを願い、夜通し起きることで三尸が体から出て行くのを防ぎ、寿命が縮まないよう身を慎んだといいます。これが日本に伝わって習慣となり、「庚申待ち」と呼ばれ、人々は様々な行事をして夜を明かしました。蒟蒻炊きは、八坂庚申堂を建立した浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)が、父親に蒟蒻を食べさせて病気を治したという逸話にちなんだ行事です。猿の形にくり抜かれた蒟蒻を北へ向いて無言で3つ食べると無病息災の効果があるといわれています。 庚申待ちは、一晩中眠らずに本尊の青面金剛を拝む行事です。庚申待ちの時に願掛けをおこなうとどんな願いも叶うといわれています。どうしても叶えたい願い事がある場合は、参加をしてみるといいですね。 なお、参加できない場合には、代持灯明を奉納する方法もあります。1基千円以上で授与してもらった灯明に願い事を書いて奉納しましょう。一晩中堂内で明かりを灯しておいてもらえます

境内に隠れている三猿を見つけよう!

八坂庚申堂の境内には、山門の上をはじめ、本堂や香炉、石灯籠などあちこちに「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿が隠れています。ぜひ探してみましょう。 [hr][/hr]

八坂庚申堂(金剛寺)やさかこうしんどう(こんごうじ) TEL.075-541-2565 ●京都市東山区金園町390 ●市バス清水道から徒歩5分 ●9時~17時●無休 ●拝観無料●なし


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