明治~大正時代の近代建築の宝庫 京都・三条通のレトロビル探訪を楽しもう

京都市街地のメインストリートといえば、東西は御池通や四条通、南北は河原町通や烏丸町通をイメージする人が多いのではないでしょうか。実は明治時代末期頃までは、御池通と四条通の間を走る三条通 がメインストリートとして発展していました。江戸時代に東海道の西の起点としてにぎわい、明治時代から大正時代にかけては、三条通の寺町通から烏丸通間を中心に、銀行や郵便局などの近代建築が次々に誕生しました。明治45年(1912年)の四条通・烏丸通の拡張とともにメインストリートの座を明け渡すことになりますが、三条通にはそのまま歴史的建造物が残り、レトロモダンな雰囲気を今も感じることができます。

レトロビル探訪のスタートは、烏丸三条西入ルにある文椿ビルヂングから。本館は大正9年に建築され、木造の洋館でありながら、寺社仏閣を思わせる約5mの高い天井など「文明開化という潮流」と「京都という土地柄」が融合されたユニークな造りとなっています。貿易会社の社屋に始まり、繊維問屋を経て終戦直後にはアメリカの文化施設として活用され、その後も内装業社や呉服商社などに利用されたのち、2004年10月に商業施設「文椿ビルヂング」として生まれ変わりました。2階建ての建物は現在、カフェやレストラン、ショップ、ヘアサロンなどで構成されています。

中京郵便局

烏丸通を東に進むと、明治35年(1902)に建てられた旧京都郵便電信局が見えます。昭和53年(1978)の改装を経て、現在も中京郵便局として機能を継続。改修の際に外壁を残して内部のみを改装する建築手法・ファサード保存が日本で最初に取り入れられたことでも知られています。

京都文化博物館

出典:京都文化博物館 – Wikipedia
中京郵便局から一筋東、高倉通にも同様にレンガ造りの建物が出現。旧日本銀行京都支店で、現在は京都文化博物館の別館として展覧会やコンサート会場として利用されています。近代洋風建築として重要文化財に指定されている別館は、通常は一般公開もされ自由に見学することもできるのが魅力。東京駅を始め近代日本の重要建築を数多く手がけた辰野金吾氏らによる設計で、外観・内観ともに細部にまで趣向が凝らされています。

イノダコーヒ 三条支店

京都文化博物館を一筋東に進んだ堺町通にあるのは、京都を代表する老舗喫茶店・イノダコーヒ三条支店。白を基調にイノダコーヒのランドマークがアクセントになった建物の前は、モーニングからランチタイム、ティータイムにかけて行列ができることもしばしば。混雑していなければ、名物のコーヒーなどでひと息つくのもよさそうですね。堺町通を南下すると、イノダコーヒ本店があります。

日本生命保険京都三条ビル

イノダコーヒ三条支店の北東側、柳馬場通の角に立つ、日本生命保険京都三条ビル(旧日本生命京都支店)は、明治45年(1912)に着工、大正3年(1914)に竣工。旧日本生命京都支店として利用されたのち、昭和58年(1983年)に改築。塔屋を含む東側の外観はそのまま残され、現在はアンティーク着物のショップが入る建物として運用されています。

SACRAビル

日本生命保険京都三条ビルから東へ進んだ角に立つSACRAビルは、大正5年(1916)頃の建築で、かつては不動貯金銀行京都支店として利用されていました。現在はショッピング施設として息を吹き返し、1階は煉瓦造、2・3階は木骨煉瓦造となっています。建物のあちこちに円形装飾やストライプなどの幾何学模様がちりばめられ、ルネサンス時代を彷彿とさせるのも特徴です。

1928ビル

御幸町通に立つ1928ビルは、名前の通り1928年に竣工されたビルで、旧大阪毎日新聞社京都支局。現在はカフェやギャラリーのほかに劇場も入る、見どころ満載の複合施設となっています。旧社章である星形の窓やバルコニー、アール・デコ調の内装にも注目してみてくださいね。

三条通

今回ご紹介した建物以外にも、外観・内観ともにレトロモダンな洋館が立ち並ぶ三条通。その多くはカフェやショップ、ギャラリーとしてリノベーションされ、気軽に立ち寄ることができるのも魅力です。かつての京都のメインストリート・三条通を、西から東へ、東から西へ、思いを馳せながらゆっくり歩いてみてはいかがでしょうか?