殺人的な人出に見舞われると思われがちの京都の観光スポット。その実態を知った上で対処法も考えてみましょう。

観光シーズンの京都、確かに混雑はしますが、殺人的な混み方となるのは、時季的にもエリア的にも、意外と限られています。超有名スポットのベスト紅葉を拝みたいというのなら、混雑にも甘んじてもらわないとなりませんが、時季を少しずらすとか、マイナースポットに目を向けるとかの形でも構わないのなら、対処法はたくさんあります。

観光シーズンの京都はたいへん混雑します。そうした情報は、ガイドブックを始め、至る所から流れてきますので、けっして嘘偽りではありません。実際に京都で暮らしていると、紅葉の盛りだから嵐山界隈に出向くのは控えようかという気になるくらいの人出となっています。 しかし、京都観光=混雑という単純な図式を、京都の至る場所に対してオールシーズンで当てはめてしまうのは、もったいないのも事実。時季や曜日などを選ぶことで幾分回避できる混雑もあるからです。というわけで、今回は、時季、曜日、場所、時間帯といった要素にわけて混雑の傾向を考えてみます。

2020年は3連休

まず時季について。秋の観光を念頭におくなら、紅葉がピークを迎える頃には相応の人出があります。年によってのばらつきと言っても、中旬にピークを迎える年もあれば、12月になっても楽しめる年もあるといった程度なので、基本ラインは11月下旬を中心に考えておけばいいでしょう。 これに、土日祝日は人出が増えるとかいう類いの一般的傾向を組み合わせておおよその趨勢は見えてきます。つまり、11月の20日から30日あたりであれば、祝日の23日や土日をピークにたいへんな混雑が予想されるという形です。 今年、2020年でいえば11月23日の勤労感謝の日が月曜日になっていますので、21日から23日が3連休となりますこの3日は、観光ビジネスに携わる人々にすれば、最高のかき入れ時とばかり、準備を整えていることでしょう。 しかし、全体的な動向がそうだからと言って、連休期間を外すことを優先的に考えるというのもどうでしょうか。人出がピークを迎えるのは、訪れる側の時間的な都合だけではなくて、環境的にそれ相応理由があるからです。景観の見映えがもっとも美しくなる頃であるとか、臨時便等で交通的にも便利になるとかの背景があります。したがって人出をとことん煩わしく思うのであれば連休を避けるのは致し方ないにしても、ある程度は人混みの煩わしさ受け入れる覚悟があるのなら、その見返りとして美しい眺めが楽しめるという形になります。

場所を選ぶ

さて、時季や曜日については、こういう形なのですが、訪れる場所を選べば、もう少し融通が利いてきます。 ここまで混雑だの、人出だのと繰り返してきましたが、これらは清水寺の門前や東福寺などの東山界隈、あるいは渡月橋や竹の小径などの嵐山・嵯峨野界隈を念頭においての話でした。 数ある観光スポットの中でももっとも激しい混雑が予想される場所です。これに対して、同じ東山でも泉涌寺や今熊野観音寺あるいは清閑寺といったあたり、または嵐山なら大堰川右岸の大悲閣や嵯峨野なら滝口寺などにスポットを当てるなら事情は変わってきます。 全般的な動向で最大級の人出となっているタイミングなので、閑散とした穴場といった感じまでは期待薄でしょうが、上に挙げたような場所であれば満員電車のような混み合い方からは解放されるはずです。 さらに東山や嵐山を外すとなると、混雑回避の期待はもう少し高くなってきます。たとえば、11月下旬の3連休であったとしても西賀茂の正伝寺や、大原の北、小出石の阿弥陀寺(北の方なので3連休ならピークが過ぎているかも)などを狙ってみると、期待以上の満足が得られることでしょう。

時季を選ぶ

時季をずらすことを考えるのなら、やはり思い切って北の方に目を向けておいて、11月上旬ぐらいを考えるのが適当でしょう。もちろん、三尾界隈や三千院まわりの大原になると、その11月上旬こそがピークという情報が広く共有されているはずですので、それ相応の混雑にはなります。 しかし、そうした三尾にしても、高雄の神護寺や栂尾の高山寺に比べると、槙尾の西明寺が人の出もやや少なくなる傾向がありますので、大原についてもハナっから敬遠するのではなく、勝林院や宝泉寺などに注目してみるなどの工夫があってもいいでしょう。

何を優先するかがポイント

結局のところ、まとめると、時季的にもっとも恵まれる11月下旬の、勤労感謝の日などの休日には、有名スポットはどうしようもなく混雑するのは避けられない事実ですが、それをどこまで受け入れられるかどうかの問題ということになります。 シーズン的にベストな清水寺や渡月橋を楽しみたいというのなら、ある程度の煩わしさは受け入れてもなわないとなりませんが、その一方で時季や目的地をずらすなどの妥協をしてもらえるのなら、人出の多さからもたらされる煩わしさへの対応方法はありますよということになるわけです。