平安神宮の大鳥居をシンボルに、蹴上を通るインクラインや南禅寺の水路閣など、歴史文化の香るスポットが多い京都・岡崎エリア。琵琶湖疏水に沿って開けた近代京都を象徴する文化ゾーンを歩いてみませんか?
琵琶湖から水を引き、舟による物流を盛んにすべく計画された疎水工事。当時の京都府知事と若き技師・田辺朔朗の指揮のもと、明治18年(1885)に琵琶湖疏水が着工され、その5年後に完成となりました。時は幕末の混乱期。東京遷都がさらなる追い打ちをかけていた京都において、琵琶湖疏水の整備は京都の近代化への明るい兆しひとつとなりました。
かつて、人々の飲料水だけでなく物流としての役目も担っていた琵琶湖疎水。明治期の1890年代、琵琶湖疏水のある大津から宇治川までの20.2kmの舟運ルートの中で、特に水路落差のある蹴上と伏見の2ヶ所に傾斜鉄道(インクライン)が設けられました。いずれも昭和期の1940年前後に休止されているものの、蹴上のみ当時の状態に復元整備され、現在は線路上を自由に散策することができます。
当時、延長581.8mと世界最長を記録した蹴上インクライン。線路跡地と舟の運搬に使われた台車が当時の面影を今に伝えています。地下鉄蹴上駅から南禅寺まで約580mの線路は、春に約90本のソメイヨシノやヤマザクラがアーチを作る桜の名所としても知られています。
インクラインを抜けて道なりに歩けば、南禅寺へ到着。正応4年(1291)、亀山法王が自らの離宮を禅寺に改めたことが起源と伝わる五山文化の中心的寺院で、春は桜、秋は紅葉の名所としても人気を集めています。京都三大門のひとつ、高さ22mの三門をはじめ、レンガのアーチが目を引く水路閣など、見どころにあふれています。
南禅寺の三門は、歌舞伎「楼門五三桐」の中で、盗賊・石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな!」と叫んだ舞台。高さ22mの三門2階からは京都市街のパノラマビューを楽しむことができ、誰しもが石川五右衛門の名セリフを叫びたくなるかも知れません。
明治23年(1890)、琵琶湖から京都市内に水を引くために造られた全長約93m、幅約4mの水路閣。古代ローマの水道橋を模した赤レンガのアーチが印象的で、南禅寺境内から上流の蹴上まで散策路がのび、ドラマのロケ地としても知られています。
春や秋の観光シーズンは特に多くの人でにぎわう岡崎エリア。人通りの少ない冬にゆっくり歩くのも、歴史や風情を感じることができておすすめです。
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インクライン
●地下鉄蹴上駅から徒歩2分 ●散策自由●
南禅寺(なんぜんじ)
TEL.075-771-0365
●京都市左京区南禅寺福地町86 ●地下鉄蹴上駅から徒歩10分 ●境内自由(方丈庭園、三門は8時40分~17時※12~2月は~16時30分) ●12月28~31日休み ●P12台