「紅葉の馬場」で知られる嵯峨野の名刹、二尊院は、嵯峨野の秋を堪能するのなら、外せないスポットです

【更新:11月19日現在 紅葉の状態:今が見頃】

総門の先にまっすぐ伸びる「紅葉の馬場」。紅葉を冠する名前に恥じず、参道の両側には鮮やかな彩りが並びます。しかし、二尊院の魅力はそれだけではありません。秋色探しに留まらず、角倉了以や阪東妻三郎など著名人のお墓参り、法然上人をめぐる歴史探訪、切り込み方次第でさまざまな顔と出合うことができます。

秋の嵐山・嵯峨野界隈で、祇王寺と並ぶ人気を誇るのが二尊院です。正確には小倉山二尊教院華臺寺といい、釈迦如来と阿弥陀如来の二尊を祀る寺として、平安初期に開かれました。 歴代の住持は代々の帝の戒師となるなど、皇室との深いつながりもあり、多方面より尊崇を集めていました。応仁の乱による荒廃の後、室町末期に再興されてからは繁栄を取り戻して現代に至っています。

お墓参りスポット

ここは、古くは四宗兼学(天台宗・真言宗・律宗・浄土宗)の地だったこともあり、多くの著名人の墓所があることでも知られています。中世最高の文化人との呼び声高い三条西実隆、江戸時代の豪商で高瀬川開削でも知られる角倉了以、希代の思想家である伊藤仁斎などです。 加えて近現代まで枠を広げるなら、二尊院は日本映画草創期の銀幕スター、阪妻こと阪東妻三郎の墓所があることでも知られています。日本映画の父、牧野省三の顕彰碑がある太秦の三吉稲荷と並んで、映画史クラスタには2大聖地です。

メインは「紅葉の馬場」

さて、そうした二尊院ですが、紅葉シーズンの見どころといえば、総門をくぐった直後からまっすぐ伸びる参道です。「紅葉の馬場」と呼ばれるスポットで、イロハモミジとソメイヨシノが織りなす秋の錦は絶景の一言に尽きます。 この紅葉の馬場は、秋だけでなく四季折々の美しさを見せてくれるのですが、やはり名前に「紅葉」を冠するに恥じず、秋の眺めが最高のものと言えるでしょう。 その美しさについては、藤原忠平が「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ」と詠んだほどです。 また、参道から進んでいった先に見えますのは「勅使の門」です。こちらの門を額縁のようにして見ることができ、写真映え間違いなしの景観となっています。

扁額にみる二尊院の重み

ところで二尊院を訪れて紅葉の馬場だけで満足していてはもったいないというもの。由緒をきちんとおさえた上で、二尊院をじっくり堪能しましょう。 まず最初のアウトラインでも触れたように、二尊院とは二体の御仏を尊崇する場所という意味です。寺名にこめられたその思いは、本堂に掲げられた「二尊院」の扁額からも窺うことができます。 雄渾な筆運びで書かれたこの扁額は、二尊院が再興された折に後奈良天皇が自ら筆を執って書いたものと伝わります。勅使門に掲げられた後柏原天皇宸筆の「小倉山」扁額とともに一見の価値があります。

法然上人のこと

二尊院にまつわるエピソードで有名なのは、浄土宗の開祖と仰がれる法然上人がこの地に依って教えを広めたという話です。 それにまつわる形で、二尊院には「七箇条制誡」と呼ばれる起請文(誓いの文書)が伝わっています。法然が記して、弟子たちが署名を添えたとされるもので、後に親鸞上人となる「僧綽空」の名前を見ることもできます。この七箇条制誡は、本堂で展観されていることもあるので、その機会に立ち会うことができた時は、是非確認しておきたいものです。 また法然上人ゆかりの話としては、その肖像画をめぐるエピソードがあります。上人の姿を絵師が描いた際、衣の下から無造作に投げ出されていた足もそのまま描いてしまいました。上人がそれを恥じて念仏を唱えると、絵に描かれた足が衣の奥に隠れたというのです。 法然上人を描いた絵の中で、このモチーフのものを「足曳きの御影」といいますが、二尊院にはその原本が伝えられており(京都国立博物館に寄託)、複製版が常時展観されています。

怪傑角倉了以

あるいは墓所巡りの一環で、銅像比較というもの面白い試みです。先に触れたように、二尊院には著名人のお墓がたくさんあります。 その中の1つ、角倉了以については、墓所の傍らに銅像が置かれています。了以像といえば、前方を睨みつけるように両眼をカッと見開いた姿が印象的ですが、二尊院にあるのもそうした姿の1体です。嵐山界隈では、ほかに嵐山公園亀山地区に1体、大堰川右岸の大悲閣千光寺に木造が1体あります。大悲閣のものがすべてのモデルとなっているそうですが、実際に1つひとつを見比べてみるのも面白いかも知れません。

混雑対策もお忘れなく

なお二尊院は嵐山嵯峨野界隈では屈指の人気スポットになるため、繁忙期に訪れると相応の混雑が予想されます。オフィシャルサイト(http://nisonin.jp/)が奨める「耳を澄ませて時を忘れる」ような体験はなかなか難しくなる可能性もあります。 せめてもの抗いを試みるなら、開門一番の拝観でしょう。最寄り駅の嵐電嵐山駅からなら徒歩で20分ほどを要しますが、寄り道なしの最短距離アプローチを狙うのなら、駅前商店街をまっすぐ北端まで突き抜けて、清涼寺門前で左折、宝筐寺北側の路地を直進という形になります。 多くの人が使うのは、竹林の小径などでの散策を経て二尊院に到着する行程ですので、最短ルートを早めに歩けば竹林の小径組よりは早着できるはずです。開門一番の静けさ狙うのなら、このくらいの努力も必要となります。

二尊院の基本情報

【所在地】京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
【電話】075-861-0687
【紅葉の見頃】11月中旬~11月下旬
【拝観時間】9:00~16:30
【拝観料】500円
【アクセス】バス:「嵯峨釈迦堂前」下車徒歩約10分・電車:JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」下車徒歩約19分

二尊院

住所:〒616-8425 京都府京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27

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二尊院周辺の紅葉スポット

神護寺

高雄山の中腹に位置している神護寺は、京都市北西部の紅葉の名所として知られています。 山門への石段を華やかに彩る紅葉が特に美しいと言われていますが、紅葉のピークを少し過ぎた時期に境内を受け尽くすような「散りもみじ」も素晴らしいものです。
【所在地】京都市右京区梅ヶ畑高雄町5
【電話】075-861-1769
【紅葉の見頃】 11月上旬~11月下旬
【拝観時間】9:00~16:00
【拝観料】600円
【アクセス】バス:「山城高雄」下車徒歩約20分

神護寺

住所:〒616-8292 京都府京都市右京区梅ケ畑高雄町5

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常寂光寺

小倉山の中腹に位置している常寂光寺は、数多くある京都の紅葉スポットの中でも、特に人気の人気の高い紅葉の名所です。 石段に沿って色づくカエデや、境内を埋め尽くすような鮮やかな紅葉は、絵画のような美しさです。
【所在地】京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3
【電話】075-861-0435
【紅葉の見頃】11月中旬~11月下旬
【拝観時間】9:00~17:00(16:30受付終了)
【拝観料】500円
【アクセス】電車:JR「嵯峨嵐山駅」から徒歩15分または、京福電気鉄道「嵐山駅」から徒歩20分。バス:JR京都駅から約45分「嵯峨小学校前」下車徒歩15分

常寂光寺

住所:〒616-8397 京都府京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3

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西明寺

神護寺から徒歩15分ほどでアクセスできる西明寺は、槙尾山に位置しているこじんまりとしたお寺ですが、紅葉の時期になると美しい紅葉を見ることができます。本堂周辺の風景はもちろん、建物の中からの眺めも素晴らしいものです。お抹茶(600円)をいただきながら、ゆったりと秋の京都を堪能してはいかがでしょうか?
【所在地】京都市右京区梅ケ畑槙尾町1
【電話】075-861-1770
【紅葉の見頃】11月中旬
【拝観時間】9:00~17:00
【拝観料】500円
【アクセス】JRバス「槙ノ尾」下車徒歩約5分
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祇王寺

平家物語に登場することで知られている祇王寺は、素晴らしい紅葉を見ることができる名所でもあります。紅葉のピークを少し過ぎた12月上旬頃に見られる「散もみじ」の風景も、風情があります。
【所在地】京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32
【電話】075-861-3574
【紅葉の見頃】11月下旬~12月上旬
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】300円
【アクセス】市バス「嵯峨釈迦堂前」下車、徒歩約15分・JR嵯峨「嵐山駅」より徒歩20分

祇王寺

住所:〒616-8435 京都府京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32

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二尊院を訪れた際はこちらもぜひ・・・

老松 嵐山店のわらび餅

老松は、京都らしさが溢れる和菓子店です。店内には色々な和菓子が並びますが、一番のおすすめは「わらび餅」です。 お値段はちょっと高めですが、せっかく京都を訪れたならおみやげに買って帰るのも良いのではないでしょうか?
【所在地】京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町20
【営業時間】9:00〜17:00(無休)
【電話番号】075-881-9033
【アクセス】京福電鉄「嵐山」駅下車、徒歩3分、
JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅下車、徒歩10分
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嵐山温泉 駅の足湯

駅のホーム内に嵐山温泉のお湯を引いた足湯があります。着替えなどの準備も必要なく気軽に嵐山温泉を楽しむことができるのでおすすめです。
【入浴料】200円(タオル付き)
【営業時間】9:00~20:00(冬季は18時まで)
【休業】無休
【効能】神経痛・筋肉痛・慢性消化器病・疲労回復など
【泉質】単純温泉
【所在地】京都府京都市右京区嵯峨天龍寺造路町
【問い合わせ先】嵐山駅はんなり・ほっこりスクエアインフォメーション(075-873-212)もしくは「京都府観光連盟ホームページ」にてご確認ください。
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嵐山温泉 彩四季の宿 花筏

渡月橋からほど近くにあるのが温泉宿「嵐山温泉 彩四季の宿 花筏」です。日帰りプランも充実しています。一番のおすすめは、「展望露天風呂」こちらから渡月橋や大堰川、小倉山、遠くに霊峰・愛宕山が眺められます。
【入浴料】食事付入浴(広間利用)=3674円~
食事付入浴(個室利用)=6480円~
貸切風呂(食事利用者のみ、40分、食事代別)=1620円加算
【営業時間】11:00~14:30
【効能】神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、浸性消化器病
【泉質】単純泉(低張性弱アルカリ性温泉)
【所在地】場所京都府京都市西京区嵐山中尾下町57
【アクセス】阪急嵐山線嵐山駅から徒歩5分
【風呂情報】内風呂:○ 露天風呂:○ 貸切風呂:○
【問い合わせ先】嵐山温泉 彩四季の宿 花筏 (075-861-0228)もしくは「嵐山温泉 彩四季の宿 花筏ホームページ」にてご確認ください。
【駐車場】あり(無料)
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京都嵐山温泉 湯浴み処 風風の湯

嵐山温泉の中では唯一の日帰り入浴専門の施設です。国の名勝指定の嵐山の風情を存分に味わうことが出来るこちらの浴場は、肌にやさしい良泉で溢れる主浴槽、白湯のシルキー湯・露天風呂、サウナも配置された大満足の内容です。
【入浴料】入浴料大人1000円、小人(3歳~小学生)600円、幼児(0歳~)300円、入浴料(土・日曜、祝日)大人1200円(週に1回シルバーデイあり(60歳以上、入浴料50%OFF))
【営業時間】12:00~21:00(閉館21:30)
【休業】無休(点検期間休)
【効能】神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え症、疲労回復、健康増進
【泉質】単純泉(低張性弱アルカリ性温泉)
【所在地】京都府京都市西京区嵐山上河原町1
【アクセス】阪急嵐山線嵐山駅からすぐ(車)京都縦貫自動車道大原野ICまたは沓掛ICから国道9号、府道29号を嵐山、渡月橋方面へ8km。
【駐車場】なし。提携駐車場あり(有料)
【その他情報】(風呂情報)内風呂:○ 露天風呂:○ 貸切風呂:× バーデゾーン:×(風呂の種類)泡風呂:○ ジェットバス:× ジャグジー:× 打たせ湯:× 寝湯:× 薬湯:× サウナ:○
(設備情報)休憩施設:○ 食事処の有無:× 宿泊施設の有無:×(アメニティ情報)タオル:有料 バスタオル:有料 石鹸・ボディシャンプー:無料 シャンプー:無料 ドライヤー:無料
【問い合わせ先】京都嵐山温泉 湯浴み処 風風の湯 (075-863-1126)にてご確認ください。
【Google Map】こちら

まとめ

いかがでしたか?「紅葉の馬場」と称される二尊院の紅葉は一見の価値のある美しさです。ただ、二尊院の見どころは他にも数多くあることがお分かりいただけたかと思います。周辺には紅葉の名所をはじめとして、おすすめスポットも数多く点在します。ぜひお気に入りのスポットを見つけて観光プランをたててみてくださいね。