永観堂の正式名称は禅林寺と言います。平安時代に、弘法大師の弟子・真紹(しんしょう)が創建したお寺です。禅林寺になる前は藤原関雄(ふじわらのせきお)の別荘だった場所と言い伝えられています。「古今和歌集」には、紅葉を詠った藤原関雄の歌が掲載されており、今からずっと昔も永観堂の美しさが変わらなかった事が伺えます。
永観堂の歴史の始まりは、平安時代に遡ります。空海の弟子である僧都・真紹が真言宗の道場を構えた事が始まりと言えます。鎌倉時代から室町時代かけては、源頼朝の力添えにより寺院は繁栄します。しかしながら、応仁の乱にて廃墟の姿へと変わり果ててしまいました。そこからの復興は、江戸時代までの長きにわたり時間を要したと言われています。江戸時代の終わりには、永観堂は貧しい人々の病院のような役割を担う様になり、明治時代になると、寺院としての役割に戻ったと言い伝えられています。「永観堂」の由来としては、禅林寺の発展に貢献した永観律師に関係があります。永観律師は、境内に無料で貧しい人の病気を治療する施設である施療院を建てて、民の救済に力を入れていました。これらの慈善事業の恩恵を受けた人々が、人柄を慕い「永観堂」と呼んだのが始まりと言われています。永観堂の別名はまだあり、それが「秋はもみじの永観堂」です。古くから京都の中では、紅葉の名所として多くの人に知られています。さてどんな見所があるか詳しく見ていくとしましょう。
永観堂
正式名称:禅林寺
所在地:京都市左京区永観堂町48
電話番号:075-761-0007
永観堂で紅葉の写真を撮影するのにおすすめの場所は?
永観堂では、カエデ・イロハモミジ・オオモミジなど、約3,000本の木々の紅葉を楽しむことができます。特におすすめなのが、放生池越しに山の中腹にある多宝塔をのぞむ景色です。放生池周辺の紅葉だけでなく、水面に映る紅葉も撮影することができます。この景色は天気も関わってくる為、出会えた方は運が良いとも言えるでしょう。放生池に架かる錦雲橋と弁天社の鳥居、紅葉を1度に撮影できる夢庵も、人気の撮影スポットです。雨の日以外は、放生池近くの「みかえり茶屋」でお茶をいただきながら、写真撮影するのも良いかもしれません。藤原関雄の「おく山の岩がき紅葉散りぬべし照る日の光 見る時なくて」という歌で詠われた岩がき紅葉は、御影堂の裏の急な岩壁の間から生えています。多宝塔の前からは、境内に広がる紅葉を眺めることもできますよ。
永観堂の紅葉のライトアップ
2017年は、11月7日~12月6日の17時30分~20時30分にライトアップが行われました。昼間と夜間は入れ替え制になっています。放生池に架かる橋のライトアップや暗闇に浮かぶ紅葉の幻想的な美しさなど、夜ならではの景色を楽しむことができます。池全体が鏡の役割を果たした、逆さ紅葉は壮大かつ神秘的な景色とも言えるでしょう。ぜひ京都を訪れたい際には、多くの方に見ていただきたい景色のひとつと言えます。
永観堂の紅葉シーズンの混雑状況は?
京都の中でも特に有名な紅葉スポットであるため、紅葉時期はいつも多くの人でにぎわっています。平日の朝早い時間ならば、比較的、落ち着いて紅葉を楽しむことができます。境内が広いため、人は多くても、そこまで混雑した印象はないかもしれません。おすすめとしては、開門より30分~1時間程前にこの近辺に到着するぐらいの気持ちでいると、混雑に巻き込まれる事も少なくなります。ライトアップも、平日ならば早い時間帯の方が比較的ゆっくり見学することができます。受付開始時間の17時を目指して訪れると良いかもしれません。また、日曜や祝日の場合、20時頃ならば翌日に仕事や学校がある方が早めに帰宅するため、遅い時間が狙い目と言えます。この時間であれば、割と落ち着いて見ることができるでしょう。
永観堂の見どころ
「永観堂」という呼び名は、7代目の住職・永観(ようかん)の通称・「えいかん」から名づけられました。永観が真夜中に1人で念仏を唱えながら修行に励んでいると、本尊の阿弥陀如来が降りてこられ、永観の前を歩き、振り返りながら「永観遅し」と語ったといわれています。その姿をとどめた阿弥陀様は「見返り阿弥陀」と呼ばれ、阿弥陀堂にまつられています。他のご本尊とは一風変わった姿を訪れた方に、ぜひ見ていただきたいものです。ご本尊の他にも、山肌に沿うように、御影堂から多宝塔へと続く階段・臥龍廊も見所と言えます。永観堂の七不思議のひとつとも呼ばれている臥龍廊。臥龍廊は、山の斜面に作られ、その見た目は、龍が体をうねらせているかのような形です。この迫力は見た人にしかわからない素晴らしさと言えるでしょう。この中を歩く事もでき、龍のお腹の中を歩いているような感覚を味わえます。他では、なかなか感じた事がないような感覚に陥る事でしょう。実は、高台寺にも同じ様な臥龍廊がありますが、そちらは直線的な物なのでまた少し感覚が違います。この回廊は、釘を使わずに組木だけで造られています。ぜひそちらにも注目して見ていただけると幸いです。余談ではありますが、永観堂の七不思議とは、抜け雀、悲田梅、火除けの阿弥陀如来、三鈷の松、木魚蛙、岩垣もみじ、などなどぜひ訪れた際に、自分の目で確かめてみるのもまた面白い旅になるでしょう。
永観堂から1番近い駐車場は、タイムズ永観堂前になります。
■タイムズ永観堂前
住所:京都市左京区南禅寺北ノ坊町23
しかし、駐車台数が4台なので、普通車506台を駐車することができる岡崎公園駐車場のご利用をおすすめします。
■岡崎公園駐車場
住所:京都市左京区岡崎最勝寺町63
永観堂周辺のおすすめ紅葉スポット
南禅寺は、京都市左京区にある臨済宗南禅寺派の大本山にあたります。京都五山、鎌倉五山の上の寺格と言われ、格別な扱いになっています。簡単に言えば、国内の禅寺の中では、最も寺格が高いと言うことになります。格式高いこの寺院は敷地も、とても広大になります。その中には見所も多く、南禅寺の入り口に聳え立つ、高さが22mもある三門をはじめ、方丈庭園や南禅院などがあります。敷地が広い分、見所もとても多い寺院と言えるでしょう。巨大な三門は、1899年に国の指定重要文化財に指定されました。この三門は、楼上に上がることができ、回廊を一周出来ます。そこからの眺めは、南禅寺の境内はもちろん、京都市内を一望する事が出来る為、ぜひ足を運んだ際は見ていただきたいポイントとも言えます。また、四季折々の素晴らしい景色を眺めるには、絶好の場所と言えます。その美しさは、遥か昔から歌になるほどで、石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と言葉にした場所とも言われています。あなたもその素晴らし景色をその目で確かめてみてはいかがでしょうか。秋の季節は、これらの三門やアーチ式の水路閣、境内にある天授庵や南禅院が紅葉の名所としても上げられています。天授庵では、ライトアップイベントも行われており、昼間とは違った幻想的な景色を楽しむ事も出来ます。
無鄰菴
1894(明治27)~1896(明治29)年に造営された無理庵は、庭園と母屋、洋館、茶室の3つの建物によって構成されています。こちらは、山縣有朋の別荘跡と言われています。「植治」こと七代目小川治兵衛が造った庭では、京都の中でもとりわけ鮮やかな紅葉を見ることができます。「庭行灯」庭師とながめる秋の庭園というライトアップイベントも、1日3回開催されます。風情ある京都らしい景色を見たいという方におすすめな場所とも言えるでしょう。
日向大神宮
「京のお伊勢さん」という呼び名がある日向大神宮は、伊勢神宮とのゆかりが深い場所になります。その昔、伊勢神宮までお参りに行くことが出来ない人々の為の場所としても、崇め敬われてきました。現在では、京都の中で隠れた紅葉スポットとして知られています。境内では、天の岩戸や十月桜も見ることができます。
安楽寺
哲学の道を少し入った先にある、茅葺きの門が目印のお寺です。普段は、一般公開されていませんが、春と紅葉の時期には特別公開されます。門前の階段に埋めつくされた散り紅葉に風情を感じます。2010年に完成した比較的新しい客殿には、カフェが併設されており、そちらも新しい名所と言えるでしょう。
法然院
普段は非公開でその全貌は、春と秋だけ伽藍が公開される法然院。こちらは、安楽寺の北に位置するお寺になります。法然院は、京都の中では「椿の名所」としても名高い場所です。特に本堂北の中庭で別名「椿の庭」と呼ばれています。そこには五色散り椿・貴椿・花笠椿の三銘椿が植えられており、春に訪れた人々の心癒してくれることでしょう。この三銘椿の開花時期は、3月下旬から4月上旬であり、春の公開時期と重なる為多くの観光客で賑わいます。秋の季節には、茅葺きの門からは額縁の中に入ったような紅葉を見ることができ、門をくぐりぬけた先にある境内では、お坊さんが砂に描いた紅葉の絵を見ることができます。
真如堂は、石畳の参道の両側にカエデの木が堂々と枝をはり、奥には三重塔が見え、まるでカエデ林の中にお寺があるような雰囲気です。本堂の前から西に降りていく石畳は、まさに紅葉のトンネルになります。赤や黄色に色づく桜・カエデ・モミジなどが、常緑樹のグリーンと共演するその光景は圧巻の一言です。特に色鮮やかな紅葉が夕日を浴びる時は、最も美しい瞬間と言われています。その年の気候によって変動はありますが、例年でいくと、境内の紅葉の見ごろは11月下旬を過ぎた頃とされ、本堂の裏などは12月上旬頃まで少し長めに楽しめます。
圓光寺は、1601年(慶長6年)、徳川家康公が閑室元佶(カンシツゲンキツ)師を招き、文治政策として伏見に学問所を開設したのが始まりで、圓光寺版と呼ばれる図書も出版され、当時の木活字(重文)はいまも残っています。1667年(寛文7年)、現在の地に移転しました。庭園は新緑や紅葉の時期に美しい風景を造り出し、本堂前には水琴窟が設置されて、妙音を聞くことができます。境内の山上からは眼下に真っ赤に燃え立つ紅葉と、前方には遠くに見える北山や嵐山の景色も楽しむことができます。
大原(三千院)
国宝の阿弥陀三尊をはじめとする、数多くの文化財が安置されている、天台宗の寺院であり、大原散策の中心地となっています。紅葉シーズンには、杉木立に囲まれた庭園「有清園」と、茶人の金森宗和が修築したとされる美しい「聚碧園」が、色とりどりの秋色に染まります。杉苔が美しい有清園には、各所に杉村孝作のわらべ地蔵が配置され、庭を回遊する人を温かい表情で迎えてくれます。石垣と茶店に挟まれた約50mと続く参道に沿ってカエデが枝を張り、境内では、青い苔庭に赤や黄色に色づいた葉が降り積もり、静寂に包まれた風情ある空間で心が癒されます。
●貴船神社
貴船神社には水の供給を司る神が祀られていて、その一帯が避暑地として知られることから通称「京の奥座敷」と呼ばれています。平安時代の女流歌人である和泉式部が訪れた寺院であることも有名な話で、縁結びの神様として人気が高く、若い世代の参拝者が多く訪れます。「貴船もみじ灯篭」では貴船一帯に行灯が並べられ、神域が優しい灯りに包まれるとても幻想的な光景を楽しむことが出来ます。貴船神社本宮の参道石段に春日灯籠が立ち並び、紅葉との共演もまた素敵な景色です。更には、貴船から鞍馬山の紅葉が一望できることもオススメポイントといえます。
●岩倉実相院門跡
岩倉実相院門跡は、元天台宗の寺門派の単立寺院です。天台宗には山門派と寺門派があります。通称では岩倉門跡や岩倉御殿などと呼ばれています。本殿は300年前に御所から移築されたものですが、ここはパワースポットとして知られています。奥の書院と客殿との間にある山水庭園と、比叡の山々を借景とした見応え抜群の石庭があり、どちらも違った顔を見せてくれます。山水庭園は裏山の景色と相まって日によって色んな表情を見せてくれますし、石庭は紅葉シーズンの11月上旬から12月上旬が際立って美しいです。また、滝の間では、磨き上げられた床板にきれいに紅葉が映りこむ様子、通称「床もみじ」が楽しめます。
●京都府立植物園
京都府立植物園は、大正13年より開園している日本一歴史のある公立総合植物園です。24ヘクタールもある広大な敷地に約12000種類にもなる色とりどりの植物が植栽・展示されています。その種類の多さから一年のうちいつ行っても違った美しさに出会うことができます。秋には、モミジをはじめとしてサクラ、フウ、イチョウなど約500本の木々たちが見事に赤や黄色に紅葉・黄葉します。中でも、なからぎの池を取り囲む紅葉や、アジサイ園周辺のフウの大木の紅葉は一見の価値ありです。秋には植物園フェスタや、紅葉散策ツアー、植物クラフト体験教室など様々な催しが用意されています。
正式名称は元離宮二条城(もとりきゅうにじょうじょう)。江戸幕府初代将軍徳川家康が、天皇の住む京都御所の守護と将軍上洛の際の宿泊所とするため築城したものです。また、京都府の府庁や皇室の離宮として使用されたりもしていました。近年、紅葉の名所としても知られてきている二条城。秋のライトアップも実施されるようになり、一カ所に見どころが密集しているわけではなく、あちこちに見どころが点在しているのが特徴です。
まとめ京都でも有数の紅葉の名所として知られる永観堂は、秋には多くの観光客でにぎわいます。「秋はもみじの永観堂」と呼ばれるだけあり、京都に紅葉を見に訪れる際には外せないスポットです。永観堂を訪れた際は、ご本尊を始め、臥龍廊などの見所にも目を向けてると、より充実したご旅行になること間違いありません。混雑を避ける為には、朝の開門前の時間か、もしくは祝日や日曜の閉門前の時間を狙って行く事で、ゆったりと紅葉を楽しることでしょう。今まで訪れる機会がなかった方も、ぜひ1度訪れてみてください。