平安時代からの歴史を伝える高雄の名刹「神護寺」

神護寺

京都屈指の紅葉の名所・高雄の山腹にある「神護寺」。この地にあった和気氏の氏寺である「高雄山寺と、平安京の遷都に貢献した和気清麻呂(わけのきよまろ)が建立した「河内国神願寺」が統合し、天長元年(824)に「神護国祚真言寺(じんごこくそしんごんじ)が造営されたことが起源と伝わっています。

神護寺
高雄山寺の頃には最澄・空海が大同14年(809)から14年間も住持を勤めたことでも知られる、長い歴史を持つ真言宗の古刹。応仁の乱で太師堂以外の堂宇の大半を焼失し、現在の建物は江戸時代以降に再建されたものといわれています。

平安時代初期に作られた国宝の薬師如来立像を安置

神護寺
神護寺
清滝川の渓谷から約400段も続く石積みの階段を登った先で出迎えるのは、持国天と増長天が立つ仁王門。約20万平方メートルもの広大な境内には、薬師如来立像が安置された金堂や、「灌頂(かんじょう)のにわ」を持つ書院などの諸堂が立ち並んでいます。金堂厨子の中に安置される国宝の薬師如来立像は河内国神願寺のときから伝わる本尊で、貞観時代の傑作。多宝塔に安置された五大虚空蔵菩薩坐像とともに国宝に指定されています。密教美術の宝庫で、貞観時代と鎌倉時代を中心に第一級の仏像や絵画などを多数所蔵。平安時代初期からの歴史を今に伝えています。

錦雲渓を望みながら「かわらけ投げ」に挑戦

神護寺
「かわらけ投げ」発祥の地といわれる神護寺。境内の最西端にある地蔵院を参拝したあとは、売店で素焼きの皿の「かわらけ」を手に入れ、かわらけ投げに挑戦することができます。地蔵院前の展望広場からは季節ごとに色を変える清滝川の渓谷、錦雲渓を見下ろすことができ、気分爽快! 秋は渓谷を埋め尽くす紅葉の美しさに圧倒されます。

神護寺
素焼きの皿には「厄除」と彫られています。無病息災を祈りながら渓谷に向かって投げるとご利益があるとされています。

清滝川が山間の紅葉を映し出す季節も待ち遠しいですね

神護寺
愛宕山の東のふもとにある清滝から清滝川をさかのぼった高雄、槇ノ尾、栂ノ尾の3つの集落は、それぞれ名前に「尾(雄)がつくことから「三尾(さんび)」とも呼ばれています。高雄には神護寺、槇ノ尾には西明寺、栂ノ尾には高山寺とそれぞれ山間に名刹がたたずむ、京都屈指の紅葉の名所です。体力や時間に余裕があれば、神護寺、西明寺、高山寺とめぐってみてはいかがでしょうか。

========================
神護寺(じんごじ)
●京都市右京区梅ヶ畑高雄町5 ●JRバス停山城高雄から徒歩20分