平安時代から守られてきた秘仏 青不動明王像を擁する「青蓮院門跡」

クスノキの巨木に抱かれるようにして立つ、皇室ゆかりの寺院、「青蓮院門跡」。秘仏・青不動明王像の寺として知られていますが、書院のモダンな襖絵や2つの庭園なども一見の価値があります。春と秋には青い光のライトアップも行われます。

天台宗の祖・最澄が延暦寺の住坊として建てた青蓮坊が寺の起こり。天台宗三門跡のひとつに数えられ、別名粟田御所とも呼ばれています。門跡とは、皇族や摂関家が住職を務める寺院のことで、青蓮院は平安末期から続く門跡寺院として、高い格式を誇ってきました。歴代の門主には、『愚管抄』の著者・慈圓や、書道「御家流」の創始者である尊円法親王など著名な人物が名を連ね、浄土真宗の祖・親鸞聖人の得度の地としても知られています。歴代の門主に引き継がれてきた寺の秘仏・青不動明王二童子像は、一般公開はほとんどありませんが、普段は本堂に安置された複製を拝することができます。写真は、室町時代の絵師・相阿弥が手がけた池泉回遊式の相阿弥(そうあみ)の庭。

華頂殿(かちょうでん)から相阿弥の庭を眺める

拝観受付からすぐの華頂殿では、大きく開放された縁側から広い庭園を一望できます。江戸時代の絵師・相阿弥が手掛けた池泉回遊式庭園で、粟田山を借景にこんもりとした築山や石組みがダイナミックに展開しています。新緑の季節の苔が見事で、秋は紅葉が見事抹茶(別途料金必要)で一服しながら、ゆっくりと庭を鑑賞することもできます。 華頂殿のモダンな襖は、画家・木村英輝氏が奉納したもの目の覚めるような深い青色の蓮が、ほのかな濃淡をともないながら60 面に渡って描かれています。 豊臣秀吉の寄進といわれる一文字手水鉢は、小御所と華頂殿との渡り廊下から見学が可能です。

日本三不動のひとつ、青不動明王二童子像

通称青不動と呼ばれる仏画で、日本三不動のひとつに数えられています。不動明王は大日如来の化身とされ、中でも青不動は赤や黄など他の色の不動明王に比べ、最も位が高いとされています。平安時代からほとんど公開されてこなかった秘仏で、国宝に指定されています。 青不動が安置されている本堂。本尊の熾盛光如来(秘仏)をはじめ、毘沙門天や歓喜天など多くの仏像が安置されています

ツツジが美しい霧島の庭

華頂殿の東側にある庭園で、江戸時代の作庭の名手・小堀遠州が手掛けたものといわれています。その名の通り、庭には多くのキリシマツツジが植えられ、5月の満開時には真っ赤な花が燃えあがるように咲き誇ります。

親鸞聖人お手植えのクスノキ

浄土真宗の祖・親鸞聖人が3代目門主の慈圓のもとで得度をした縁があり、院内には聖人お手植えのクスノキの大木が残っています。門前と宸殿前にある計5本のクスノキはいずれも樹齢800年といわれ、市の天然記念物にも指定されています。 表面に青不動明王が刺しゅうされたお守り。開運厄除御守と心願成就御守があります。 [hr][/hr]

青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき) TEL.075-561-2345 ●京都市東山区粟田口三条坊町69-1 ●地下鉄東西線東山駅から徒歩5分 ●9時~17時(最終受付16時30分) ●無休