京都の紅葉は郊外の山際だけではありません。有名観光地とは別の、街なかでの秋色探しをご紹介します。

京都の紅葉は郊外の山際だけではありません。有名観光地とは別の、街なかでの秋色探しをご紹介します。

京都の秋、その魅力は東山や嵐山など山際の紅葉に集中していますが、街なかでの秋色探しはいかがでしょうか。イチオシは街路樹の黄色です。ショッピングストリートとして有名な河原町通やオフィス街の堀川通といった辺りでも、場所によっては壮観の域に達したイチョウ並木と出会うこともできます。

京都の秋で観光気分を味わうのなら、一にも二にも、嵐山や東山の観光地を訪れることになるのですが、街なかの何気ない風景にも秋が感じられることもあります。河原町通であったり、堀川通であったりと、混雑をきわめる観光地に踏み込まなくても京都の秋を堪能する方法はたくさんあります。

河原町通のイチョウ

黄色い紅葉京都市の繁華街、その代名詞とも言えるのが四条河原町です。よく知られているように、京都市の地名は東西の通り名と南北の通り名を組み合わせて作られますので、四条河原町とは東西の四条通と南北の河原町通がクロスする交差点のことです。最初に取り上げる河原町通は、この四条河原町の交差点を南北に通過する大通りで、北は今出川通の北側、南は十条通まで伸びています。この河原町通に中で、イチョウ並木に注目するのは、四条河原町の交差点より1〜2キロばかり北に上がった丸太町通から荒神口のあたりです。街路樹の間隔は都市計画に基づいてルールが決められているので、このエリアが特別に密になっているわけではありません。しかし、建物との取り合わせが影響してそう見えるのでしょうか、このエリア、特に荒神口の辺りは、イチョウの葉が色づく頃には黄色がとりわけ鮮やかに目立って見えます

堀川通のイチョウ

京都の街なかで植樹が圧倒的な存在感を示しているスポットを求められると、躊躇わず堀川通の紫明から今出川まで続く中央分離帯(通り名を使って示すなら堀川紫明と堀川今出川の間)と答えるでしょう。この分離帯に植わっているイチョウは一本一本の樹高もさることながら、軒並み枝振りが立派で、新緑の頃の5月や葉の色が黄ばんでいく10月下旬から11月にかけては壮観な眺めを提供してくれます。また街路樹も河原町通のものより全体的に太いものが目立つのは、道路幅も考慮されているのでしょう。

東山三条のハナミズキ

ハナミズキ初夏に白や薄ピンクの花をつけるハナミズキ。この木も街路樹としてお馴染みの品種で、京都では東山三条界隈、三条通沿いの並木が印象的です。秋の見頃は10月中旬ぐらいからで、赤茶け始めた葉の陰に鮮やかな赤色の果実が見え隠れするようになります。ちなみに見た目は美しいのですが、この赤い実は有毒なので口には入れたりはしないでください。

鴨川(出町柳、高野川)のソメイヨシノ

街なかのフリースペースで季節の彩りを感じるのなら、京都の場合、鴨川を外すことはできません。鴨川は、大原方面から流れてくる高野川、雲ヶ畑からの賀茂川、その2本が合流して鴨川と名前を改める河川です。河川敷は広いところでは鴨川公園として整備されており、そうでないところでも街路樹が植えられています。高野川、賀茂川、鴨川を通してみれば、まず賀茂川左岸の半木の道、高野川左岸の御蔭橋付近、賀茂川と高野川が合流する糺河原(通称:鴨川デルタ)、鴨川の荒神橋から二条橋付近などは、ソメイヨシノの並木がみごとなスポットです。花の咲く春のような賑わいにはならないので、落葉前の1週間ぐらいが観賞のタイミングにもなるでしょう。

京都御苑

秋盛りの京都御苑フリースペースで秋を楽しむのなら、京都御苑も推しておきます。京都御所や京都迎賓館など御苑内の建造物部分については別の記事でも紹介していますが、ここでは御苑内の木々について簡単に紹介しておきます。分かりやすいのは、御苑北西側の入口である乾御門から入ってすぐのところの大イチョウ(一条邸跡のイチョウ)や迎賓館北側のモミジ(母と子の森)などでしょうか。もちろん、これ以外にも、敷地内にはたくさんの木々が植わっているので、10月の中下旬以降は、秋がだんだんと進んでいくさまを御苑内のいろいろな場所で感じることができます。なお京都御苑という名称ですが、京都に住んでいる人たちにとってはあまり馴染みのない言葉です。この記事では正確を期して、管轄の環境省が使う京都御苑に統一していますが、京都で暮らす人たちであれば御所というだけで、建造物だけでなく、公園部分も意味する使い方をします。

都市公園いろいろ

京都梅小路公園のモミジ他にも梅小路公園(七条大宮下ル)や船岡山公園(千本北大路東入ル)など、植樹の豊かな都市公園は、河原町通や堀川通を軸にした徒歩圏内に少なくはありません。また二条公園(丸太町美福通下ル)や天神公園(堀川上御霊前通)なども、史跡や名勝に指定されているわけではありませんが、それなりの広さも確保された都市公園なので休憩がてらに秋を感じるにはちょうどいい場所です。あるいはフリースペースという括りを設けず、街なかでの秋探しというのなら、二条城の庭園であったり、平安神宮の神苑であったり、北野天満宮のもみじ苑であったり、東本願寺の渉成園であったりと、これまたたくさんのスポットがリストアップされてきます。