寂光院は、京都の奥座敷で紅葉や桜の名所で、聖徳太子が建てた由緒あるお寺。京都ならではの静かな時を過ごしませんか。

京都 寂光院の紅葉

京都の寂光院は、大原の奥座敷にあり、山門への続く参道は紅葉と桜の隠れた名所です。京都の大原にひっそりと佇む寂光院は、聖徳太子が建てた由緒ある寺院で、静かな佇まいで品性が美しい尼寺です。平家物語にゆかりの地としても有名で、春は遅咲きの「みぎわの桜」、秋は参道と本堂の背景となる紅葉に、静かな時を過ごしませんか。それでは、寂光院についてご紹介します。

寂光院 京都 桜山号を清香山、寺号は玉泉寺と称します。平清盛の娘の建礼門院が、平家滅亡後隠棲した所であり、『平家物語』ゆかりの寺として知られます。寂光院は聖徳太子が父親である用明天皇の菩薩を弔うために594年に建立した天台宗の尼寺です。このお寺は平清盛の娘であり安徳天皇の生母である建礼門院徳子が平家滅亡後に入寺し、尼になり一生涯を送ったことで有名です。その後一時期荒廃していましたが、秀吉の側室淀殿の命で本堂はじめ堂宇(どうう)を整え再興しました。

寂光院では、初代住持は聖徳太子の御乳人だった玉照姫(たまてるひめ)ということになっています。敏達天皇13年(548)に出家した日本仏教最初の三比丘尼(びくに:尼僧)の一人で、慧善比丘尼といいます。その後、代々高貴な家柄の姫君が住持となったといいます。第2代住侍は阿波内侍(あわのないじ)で出家し、永万元年(1165)に入寺して証道比丘尼と称しました。阿波内侍が柴刈りに出たときの姿が大原の娘たちに真似られ、藍染めの筒袖の着物に御所染の前結びの帯、甲掛(こうがけ)、脚絆(きゃはん)が大原女のスタイルになったといわれています。第3代は、建礼門院徳子です。徳子は、平家滅亡の時、壇ノ浦で息子の安徳天皇と共に入水したのですが、その後助かり、文治元年(1185)に入寺し真如覚比丘尼と称しました(徳子29歳)。源平の合戦に敗れ壇ノ浦で滅亡した平家一門と、我が子安徳天皇の菩提を弔いながら、侍女たちとともにこの地に閑居して終生を過ごしたといいます。

京都 寂光院 紅葉

紅葉時の京都大原、寂光院(撮影11月後半) 左奥に見えるのが「諸行無常の鐘楼」

寂光院 詳細

住所:京都府京都市左京区大原草生町676
アクセス:京都バス 大原 徒歩15分
拝観料:一般 600円 中学生 350円 小学生 100円
拝観時間:通常 9:00~17:00 冬季(12月~2月) 9:00~16:30
※ただし、1月1日~3日は10:00~16:00
ホームページ:http://www.jakkoin.jp/

京都 寂光院の紅葉

寂光院

住所:〒601-1248 京都府京都市左京区大原草生町676

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京都で遅咲き「みぎわの桜」 和歌に詠まれた、その儚き美しさ。

京都 寂光院-みぎわの桜京都 寂光院-みぎわの桜京都 寂光院 桜寂光院の第3代=徳子が入寺した翌年、舅でもある後白河法皇(夫・高倉天皇の父)が建礼門院の見舞いに訪れました。これは、「大原御幸(ごこう)」と呼ばれ、能の曲目や『平家物語』で知られます。この時建礼門院が、【思ひきや 深山の奥に 住まひして 雲井の月を よそに見んとは】と詠みました。これに対して後白河法皇は、【池水に 汀の桜 散りしきて 波の花こそ 盛りなりけれ】と詠み返したとされています。このお寺の境内については平家物語にも描かれた美しさで、山門をくぐった左手に今も汀の池があり、和歌に詠まれた桜は風情があります。静かで落ち着いた雰囲気の寂光院は紅葉が美しいことでも知られ、秋には多くの人が訪れます。

大原女の元となった阿波内侍

藤原信西の娘であった阿波内侍は崇徳天皇に寵愛された女官で、1165年に証道比丘尼となりました。建礼門院徳子が出家する前から仕えており、大原女のモデルであると言われています。大原女とは頭上に薪を乗せて京の街を売り歩いた女性達のことです。昭和に入り急激に少なくなり、現在では居なくなってしまいましたが、10月に平安神宮で行われる時代祭(京都三大祭の1つ)では昔のままの出で立ちを見ることができます。

ゆっくり眺めていただきたい四方正面の池

本堂の東側にあり、四方どの面から見ても美しく、池の中を優雅に泳ぐ鯉がいて、水の音が耳に心地よい小さな滝があり、静かな時を過ごすことができます。周囲を回って四面から見られるように小径がつけられています。

寂光院と共におススメの周辺スポット

京都バスの大原駅から寂光院に行き、その後、勝林院や宝泉院など3~4個の寺院を経て最後に三千院を訪れ、京都バスの大原駅まで戻っていく散策コースがおすすめです。もちろん逆に三千院から観光して寂光院で観光を終えることもできます。それぞれの寺院でどのくらい過ごすかによって変わりますが、3~4時間で観光できると思いますので、軽い運動がてら観光してみてはいかがでしょうか。特に、三千院には井上靖に東洋の宝石箱と言われたほど美しい庭園があり、寂光院と一緒に是非訪れていただきたい観光名所です。

宝泉院

京都大原 宝泉院 額縁の間大原 宝泉院の「額縁の間」 (撮影5月)京都の青もみじを切り取った画は、世界から絶賛された。

宝泉院 京都宝泉院(ほうせんいん)は京都北部の大原にある寺院で、額縁庭園が有名で特に紅葉や新緑の季節は絵画の如き美しさです。大原に着いて「紅葉のトンネル」と言うべき三千院の参道を歩いて最も奥座敷に有るのが宝泉院で、京都の紅葉シーズンには中心部の混雑を避けてゆっくり拝観できる穴場のスポットです。三千院の紅葉参道 紅葉宝泉院は勝林院の塔頭で、その僧坊にて天台宗の寺院です。創建から800年の歴史を紡いでます。大原の門跡寺院である三千院の参道を歩いて奥手に入口の山門があり、紅葉のシーズンはもちろんの事、最近では新緑の青もみじも爽快で、三千院の苔むした庭園と、宝泉院の額縁庭園を見て回ると京都を漫喫した気分を味わえます。

宝泉院 紅葉

宝泉院

住所:〒601-1241 京都府京都市左京区大原勝林院町187

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三千院

京都大原 三千院 苔むす わらべ地蔵京都大原 三千院  苔むした「わらべ地蔵」は伝統美を紡ぎながら今も佇む。京都-三千院-夏

京都 三千院 紅葉(4K) Youtube

三千院は門跡(もんぜき/もんせき)の一つで、門跡とは天台宗のお寺で皇族や貴族が住職をする由緒あるお寺のことです。三千院、妙法院、青蓮院を三門跡、そこに毘沙門堂、曼殊院を含めて五門跡と言います。中には12世紀の末に、高松中納言藤原実衡の妻(真如房尼)が、亡き夫の冥福を祈って建立したとされる往生極楽院などがあります。三千院は元々は比叡山にありましたが時代の流れの中で何度も移転し、現在の大原には明治維新後にやってきました。1200年の歴史を持つ格式高いお寺になります。

● 住所:京都府京都市左京区大原来迎院町540
● 電話:075-744-2531
● 駐車場:なし(公共交通機関のご利用をおすすめします)
● トイレ:あり
● アクセス:京都バス大原バス停下車、徒歩約10分
● 拝観料:一般 700円(団体30名以上600円) 中学生・高校生 400円(団体30名以上300円) 小学生 150円
● 拝観時間:9:00~17:00 (11月 8:30~17:00、12月~2月 9:00~16:30)
● ライトアップ:行われていません
京都大原三千院の紅葉

三千院

住所:〒601-1242 京都府京都市左京区540

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勝林院

勝林院 京都勝林院 京都紅葉シーズンには多くの観光客でごった返す大原ですが、ここは比較的混雑も少ない方なので、ゆったりと紅葉を楽しみたいという方にとっては穴場スポットとなるでしょう。他の有名スポットに比べると落ち着いた雰囲気の中で、境内に広がる美しい緑色の苔と、色鮮やかなモミジの共演が、趣があって京都の風情を味わうのにぴったりの場所です。

【所在地】京都府京都市左京区大原勝林院町187
【電話番号】075-744-2537
【拝観時間】9:00~16:30
【拝観料】高校生以上:300円・中学生以下:200円
【紅葉の見頃】11月中旬~下旬
【アクセス】京都バス「大原」下車徒歩約12分
※駐車場がないため車で行った際は周辺の有料駐車場を利用することになります。
また、大原に向かう途中で狭い道を通らなくてはなりませんので、出来る限り公共交通機関を利用することをおすすめします。
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まとめ
いかがでしたか。寂光院の最初の本堂は残念ながら燃えてしまいましたが、現代の技術で昔のものに近い本堂が建てられています。平家の滅亡で逃げ延びた建礼門院徳子は身を寄せたこの寺院でどのような毎日を過ごしたのでしょうか。戦国の世に巻き込まれ不運な境遇になった人をそっと匿った寂光院を訪れてみてはいかがでしょうか。



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