秋の京都を演出するのは、自然の景観だけではありません。紅葉の季節に合わせた祭儀やイベントが各所で催され、訪れる人たちを楽しませくれます。嵐山のもみじ祭など半世紀の歴史を誇るものもあれば、その地を愛した故人を偲ぶ法要などもあって、スタイルはさまざまでも、どれも秋の彩りに一花添える役割を果たしています。
秋の京都で行われる祭事といえば、神輿の繰り出して豊穣を祈る北野天満宮のずいき祭りや大燈呂が目を惹く粟田神社大祭を思い浮かべますが、イベント性が強調される行事という形で範囲を広げると、さまざまなものがリストに挙がってきます。秋季に行われる祭りとして、もっとも有名な時代祭でさえ、平安神宮の例祭であるという捉え方ではなく、忠実に再現された風俗行列を見せるイベントだと言ってしまえば、あながち外れているわけではありません。祭祀は非日常のカーニバルだという意見もあるくらいなので、もしかすると、宗教的な厳かさを残した祭事と集客意図が前面に出た行事とは、それらを積極的に区別する意味は、もともと薄かったのかも知れません。ともあれ紅葉を愛でるイベント性の高い行事という方向から、京都の秋の祭りを眺めていきましょう。