「京都の紅葉をレンタカーで楽しんでみませんか?」と言われると心も動きますが、実際の交通事情を鑑みるとどうでしょう?

「京都の紅葉をレンタカーで楽しんでみませんか?」と言われると心も動きますが、実際の交通事情を鑑みるとどうでしょう?

京都は自動車での移動には不向きな街です。公共交通機関で隅々まで行き届いている市バスも交通渋滞との争いになることが少なくありませんし、有名観光地周辺では、加えて満員の車内という苦行も強いらるので、マイカーやレンタカーに食指が動く気持ちはわかりますが、実際にはあれこれ制限が加わってきます。

お題として「京都の紅葉をレンタカーで楽しんでみませんか?」というフレーズがあったとしましょう。身体ひとつの軽装で京都にやってきて、好きなところを思うがままに移動できる自動車を利用するというのは、確かに魅力的な提案です。映画のように、気ままな一人旅がひょんなきっかけで道連れができて云々なんて展開があったら面白いかも知れません。しかし、こと京都に関しては、同時に交通事情が極めて厳しいことも知っておいて欲しいところもあります。特に観光地周辺であれば、レンタカーであれマイカーあれ、自動車で乗り付けるのは自殺行為に近いとさえ言いたいところです。もしこの文章を耳障りのいい記事に仕立てるのなら、京都で車を借りても、立ち回り方さえ工夫すれば十分楽しめますよ!となるのですが、実際のところは、行き先がマイナーなスポットだったり、11月下旬のいわゆる繁忙期を外したりするぐらいのことが必要になってきます。つまり、紅葉がもっとも映える季節に嵐山や東山をレンタカーで楽しむ・・・・・・となると、何を好きこのんでそんな恐ろしい真似をするのでしょうかと返さざるを得ないということなのです。

京都の交通事情に照らして考える

のっけからお題に背を向けていますが、要は京都の交通事情として、1・地下鉄網が充実していないので地上ルートが混雑しやすい、2・有名観光物件が集中する嵐山と東山界隈はその傾向が著しい、3・それらの悪条件をおしてまで利用するに値するレンタカーサービスがあるわけではない、ということを知っておいて欲しいのです。もちろん、公共交通機関を利用するのが難しい時もあるでしょう。比較的ご高齢の方がたくさん参加するツアー企画で、バスをチャーターするほどの規模でもないなどのケースは、その部類に入るかも知れません。しかし、そこまで条件が限定されてくると、むしろレンタカーではなくて、ハイヤーないしは大型タクシーのチャーターといった形で、より適切な選択肢も絞られてきます(参考:MK観光タクシー・ハイヤー)。あるいは京都の中心部ではなくて滋賀県の大津や大阪府の高槻などに宿をとり、目的の観光地近隣まではレンタカーで行き、最後は電車などを利用するパーク&ライドも一つの方策ですが、そこまでするくらいなら、より効率的な代替手段はたくさん考えられます。いずれにせよ、京都の紅葉観賞でレンタカーの利用を前提に考えるというのは、あまり得策ではないということです。

それでもやはりレンタカー

ここまでレンタカーを使った紅葉観賞について、マイナス方面からばかり紹介してきましたが、まったくメリットがないのかというと、そういうわけでもありません。遠隔地の友人たちが4〜5人ぐらいの小さなグループで京都観光をする、そしてコストの方も控えめにというようなケースなら京都駅で落ちあってレンタカー利用というケースにもなるのではないでしょうか。全国に散らばった小学校時代の同級生によるプチ同窓会だったり、SNSで知り合ったネット友人どうしのオフ会とかなら、ありうるパターンです。もし、そうした形で実際にレンタカーを利用するとなった場合は、時期が繁忙期であれば嵐山や東山は避けるのが賢明です。あるいは仮に嵐山や東山を訪れたいという形で目的地を限定するのなら、繁忙期を避けるぐらいの妥協が必要です。さらに11月下旬の嵐山、これは譲れないというのならレンタカーは止めましょうというアドバイスになります。要するに場所を優先するか、時季を優先するか、それとも移動手段を優先するかの判断が計画段階から求められるというだけのことです

モデルケース・11月の下旬にレンタカーを使って

いま仮にレンタカーを使うということを前提にして、時季が11月下旬だったとしましょう。そうすると、目的地が選択肢ということになってきますので、渋滞に巻き込まれずに比較的スムーズに移動できるエリアということで、伏見や山科界隈がお奨めエリアということになってきます。伏見であれば伏見稲荷大社でもいいでしょうし、城南宮なども季節の彩りが楽しめます。あるいは山科というのなら、勧修寺や隨心院ぐらいが手頃ではないでしょうか。山科の毘沙門堂あるいは醍醐寺となると、嵐山や東山ほどの危険度ではありませんが、いくらかは渋滞に遭遇する可能性がありますので、少しは覚悟をしておいた方がいいのかも知れません。あるいは、それ以外であれば、西山の善峯寺ないしは勝持寺なども、ちょうどいい塩梅となるスポットです。