世間の方々は土曜日・日曜日はお休みを満喫するのが普通です。お家でのんびり派は置いておき、お出かけ派のために、京都における土曜・日曜の混雑のお話をしてみましょう。一般的傾向とは異なってバカ混みとなったりするのでしょうか。清水寺門前や銀閣寺道などを例にとって、京都の観光地の様相が概観してみます。
働き方改革があれこれ言われている今日この頃、土曜日や日曜日はすべての人にとってのお休み日とは言えなくなっています。しかし、おおよその傾向でいえば、土日出勤が当たり前の方よりは、ウィークエンドはのんびりリラックスという人の方が、まだ多いのではないでしょうか。厳密な調査結果はいざ知らず、土曜日や日曜日はお出かけにはちょうどいいと広く思われているのが実際であり、一般的な観光地では平日に比べると人出も増えるようです。
京都でも、普段は比較的人出が少ないスポットなら土曜や日曜になると別という場所はたくさんあります。いわゆる一般的な傾向に準じた動向が観察されるスポットです。しかし、京都を代表する目玉スポットになると、普段から混んでいるのに加えて土日だからさらに混雑というようにはなりません。たとえば五条坂の上部、清水寺の門前を例にとってみれば、平日でも十二分に混雑しています。土日は密集の度合いがさらに高まって満員電車クラスから押しくら饅頭クラスに格上げされる、なんてわけではないということです。だいたい、満員電車クラス(他人に妨げらず歩き回ることが難しくなるレベル)が上限と思っておけばいいのではないでしょうか。
ちなみに、伏見稲荷の初詣等になると、レベルは一気に引き上げられて、押しくら饅頭レベルが実際に体験できます。
こうした混雑傾向は金閣寺など、トップクラスの観光スポットでは共通しています。これもまた、定点観測をして時間当たりの通過人数を計測したとかの話ではなくて、大雑把なイメージなのですが、トップクラスの観光地なら土日だから混雑が著しくなる傾向にあるのではなく、平日からすでに、他の場所でいうところの土日レベルぐらいの混雑はしているということです。
これに対して、トップクラスではないけどそれなりに知られている観光スポット、たとえば一乗寺の詩仙堂や山科の毘沙門堂などになると、平日なら閑散としているのに対して、土日になると人混みの煩わしさが気になるぐらいには混雑度が上昇します。つまり土日だからどうこういう以前に混んでいるスポット、土日だから混雑するスポット、土日でもあまり混まないスポットという分類が可能ということになるということです。結論からいえば、これは超ド級の有名スポット、それなりの有名スポット、穴場という分類にも一致してきます。
具体的に見ていくと、例に挙げた清水寺門前や金閣寺、あるいは嵐山は竹林の小径などは第一のグループに入ります。渡月橋界隈もやはり第一のグループですが、竹林の小径に比べると空間的に広がりがあることが影響しているのか、平日と土日では混雑の差は少しは感じられます。
一方、銀閣寺道や哲学の道になるとどうでしょうか。銀閣寺道というと、白川通の交差点から始まっていますが、ここでは特に銀閣寺橋を越えてから銀閣寺門前までの約200メートルについてです。道幅も補足なり、空間的にはもとよりの狭さがあるため、少しの混雑でもかなりの煩わしさを感じてしまいます。哲学の道の場合は、行楽シーズンでない時の平日はかなり閑散としているのですが、土日には知名度相応の人出があるようです。
これが春の桜シーズンや秋の紅葉シーズンといった行楽に適した頃になると、毎日が土日レベルといった感じになるといったところでしょうか。
結局のところ、土日だから混雑というのは一般論のレベルではその通りですし、京都でも例外ではありません。一部に平日・土日の区別なく普段から混んでいるエリアがあるといえ、多くのところでは祝日や土日には人出が増えるという、ごく標準的な傾向が認められます。
そうした中、土日でもあまり混んでいない場所というと、一般的にいうところの穴場がそれにあたりますので、嵐山界隈であれば大悲閣を推しておきますし、東山界隈なら清閑寺あたりでしょうか。
ちなみに、穴場であることが前提で、とある機会に大悲閣に十数人のツアー客を案内したことがあったのですが、たまたま同じ日に同趣のパッケージツアーが我々を含めて3組バッティングするという稀有な事態に遭遇したことがあります。極めて例外的なこととはいえ、穴場どころか清水寺並みの大混雑と相成ってしまいました。この大悲閣や鹿王院のような、いわゆる”情報誌でもよく紹介されるようになった穴場”のいくつかは、時にはこうしたトンデモ級の事態に陥ることがあります。それはそれで運が悪かったと思ってもらうしかありません。