一乗寺の圓光寺も、最近になって紅葉が注目され始めたスポットの1つです。従来は一乗寺界隈の見どころとして名前が挙がっていたのは詩仙堂ばかりでしたが、圓光寺や金福寺が加わることで、まとまった観光エリアとしての人気も出てきました。その立役者、圓光寺の歴史や魅力をまとめてみました。
一乗寺にある圓光寺は、江戸時代の初期に徳川家康が下野国(現在の栃木県のあたり)にあった教育機関、足利学校の閑室元佶を招聘して伏見に開いた臨済宗のお寺です。寛文年間に詩仙堂北側の現在地に移転して今日に至っています。その圓光寺の名前が歴史に刻まれるのは出版史の分野です。開基の時より学僧の教育に力を入れていたことを反映して、境内では活字印刷が行われていました。その結果、圓光寺より刊行された書物(日本最古の木版印刷)は伏見版または円光寺版の名で呼ばれるなど日本の出版史に名前を留めているのです。境内の一隅に設けられた展示室では、その頃に使われていた五万個に及ぶ木製活字(重要文化財)の現物を見ることができます。なお、この展示室には、同じく重要文化財で寺宝の円山応挙筆「雨竹風竹図屏風」も常時展観に供されていますので、応挙ファンにとって足を運びたい場所となっています。苔庭と紅葉と、十牛之庭
京都 圓光寺 紅葉(4K) Youtube
他の季節に比べて秋は特に多くの観光客が集まることもあって、圓光寺では別途料金による早朝参拝の枠も用意されています。一般は9:00からの拝観(500円)になるところを、7:00から入山可能となるのが早朝拝観(1000円)です。静かな環境で十牛之庭を楽しむことを希望するのであれば、利用してみるのもいいでしょう。【時間】午前9時~午後5時【見ごろ】例年通りでいけば11月中旬~12月中旬が最も見ごろです。