嵐山を借景にした広大な庭 見どころいっぱいの「天龍寺」

天龍寺

天龍寺は、1339年(室町時代:暦応2年)、室町幕府を開いた足利尊氏により、後醍醐天皇の供養のために建立されました。臨済宗天龍寺派の大本山であり、室町幕府の庇護を受け、最盛期には塔頭寺院が150余院を数えるほどでした。室町幕府の衰退とともに衰え、応仁の乱や禁門の変など8回の焼失を経て、現在は庭の一部に創建当時の面影を残すにとどめています。現在の建物の大半は、明治以後に再建されたもの。作庭の名手である夢窓疎石による曹源池庭園をはじめ、法堂天井に描かれた「八方睨みの龍」ともいわれる雲龍図など、見所もたくさんあります。

天龍寺庫裏拝観受付でもある庫裏。切妻造の屋根の下、真っ白な白壁を走る梁は曲線を帯び、装飾的な美しさを持っています。

庫裏では達磨図がお出迎え

達磨図の衝立重厚な庫裏にあって、ユーモラスな表情で出迎えてくれるのがこの達磨図の衝立。禅宗の開祖達磨大師を描いたもので、前官長の平田精耕の筆によります。迫力がありながらも、どこか愛嬌もあり、天龍寺への訪問をより印象的なものにしてくれます。

史跡・特別名勝第1号の「曹源池庭園」

庭という限られた空間が、借景という手法によって、まるで広大な地に立っているかのような開放感を見るものに持たせる「曹源池庭園」。そこに泰然として横たわる仏教世界への憧れは、670年余りたった今でも私たちにみずみずしい感動を与えてくれます。曹源池嵐山を借景に圧倒的なスケールを描き出す庭園。小方丈書院の側から見る曹源池の迫力は格別です。龍門瀑大方丈正面からは、鯉が滝を上って龍となったという故事を模した龍門瀑が見えます。巨岩が滝を、小ぶりの岩が鯉をあらわしています。

作庭家「夢窓疎石(むそうそせき)」って?

夢窓疎石南北朝時代の禅僧、夢窓疎石(1275年~1351年)。後醍醐天皇や、時の権力者である足利尊氏らの支持を得、臨済宗の地位向上に努めました。足利尊氏に後醍醐天皇の供養を進言し、天龍寺の開山となったのです。夢窓疎石は造園に優れ、「借景」という発想を取り入れた天龍寺の庭園をはじめ、西芳寺(通称苔寺)や鎌倉の瑞泉寺、山梨の恵林寺などにその名園を見ることができます。計算された美は、時を経ても色あせることなく私たちを感動させ続けます。

どこから見ても目が合う「八方睨みの龍」

八方睨みの龍法堂の天井にあって、余りにも有名なのがこの雲龍図。1997年に日本画家の加山又造が手掛けたこの天井画は、別名「八方睨みの龍」ともいわれ、どこから眺めてもこの龍に睨まれているように見えます。法堂拝観は別途500円が必要で、土・日曜、祝日、春秋の特別公開でのみ参拝することができます。

巨大な「硯石」も必見

硯石塔頭の一つ、多宝殿の庭園には、巨大な硯石があります。明治時代の雲龍図の作者である鈴木松年をしのぶ記念碑。当時の雲龍図の制作には、僧侶60人が墨をすったそうです。

夏はハスが美しい「放生池」

放生池放生池とは、捕まえた魚などを生かし放す池の総称。嵐山駅からのアクセスでは、最初にこの池が私たちを迎えてくれます。夏にはハスの花がみごとに咲き誇ります。

境内で精進料理はいかがでしょう?

精進料理曹源池庭園南に位置する「篩月(しげつ)」では、精進料理をいただくことができます。材料はもちろん、だしに至るまで肉類を一切使わない精進料理。食材にこだわり抜いて丁寧に作られた滋味あふれる一膳です。緋毛氈(ひもうせん)が敷かれた厳かな空間でいただく精進料理は格別の味わい。背筋もピンと伸びそうです。「篩月」は天龍寺直営の精進料理店です。(写真はイメージ)また天龍寺の修行道場「友雲庵」では、毎月第2日曜に本格的な坐禅体験ができます。予約不要で無料なので、誰でも気軽に参加可能。静かな空間で自分自身と向き合ってみては?[hr][/hr]

まとめ天龍寺(てんりゅうじ)TEL.075-881-1235●京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68 ●嵐電嵐山駅からすぐ ●8時30分~17時30分(10月21日から3月20日は~17時) ●無休 ●P120台篩月TEL.075-882-9725●11時~14時 ●無休http://www.tenryuji.com/shigetsu/