世界屈指の観光都市となった京都には、さまざまな種類のガイドブックが用意されています。しかし行き届いたそれら指南書に寄りかかるのではなく、ご自身の目で対象を眺めると面白さも格段に深まってきます。嵯峨釈迦堂こと清涼寺は、そうしたオリジナルのアプローチができる可能性が随所に散りばめられているスポットです。
京都の神社仏閣めぐりでは、訪れる目的をあらかじめ明確にしておくと楽しみ方の奥行きも深まり、一般には穴場と呼ばれる場所も目に付きやすくなります。たとえば庭園の美しさに絞って訪れるのなら、観光地だからというだけで人気が集中する金閣寺や清水寺以上に、小川治兵衛や夢想国師といった作庭家の心を訪ねるという意味で平安神宮神苑や天龍寺庭園に眼差しは向くでしょう。あるいは妙心寺塔頭の退蔵院なども、むやみに穴場扱いする以前に自ずとアンテナも反応します。さらには場所の善し悪しも独自の基準で行えるようになるはずです。これが庭園探訪ではなく、歴史エピソードや文学作品の舞台とかいう形であった場合、形式や方向性はテーマに即して変わるにせよ、掘り下げ方はカタログ的ガイドブックを手がかりにするだけの観光旅行とは別次元のものとなってきます。いわばマニアック路線への導入編です。嵯峨釈迦堂こと清涼寺はそうしたマニアック向けの試金石的な場所です。嵯峨釈迦堂こと清涼寺、ガイドブック的眼差しを卒業して、マニアック路線に向かう試金石となる場所
- 2020/10/31
- 京都の紅葉, 紅葉 名所
- 洛西=嵐山・嵯峨野周辺