年々人気急上昇中の京都蓮華寺の紅葉の魅力とは。京都の秋の新名所スポットもご紹介。

有名どころだけじゃない。蓮華寺に実相院、・・・・・・京都の秋には人気が赤マル急上昇のスポットも。

嵐山や東山など、京都の秋を彩ってきたのは古くから名高い景勝地でした。しかし、中にはここ数年で人気の出てきた場所も少なくありません。新たな紅葉の新名所として挙がっているのが、岩倉の実相院や八瀬の蓮華寺など。境内から見える紅葉の演出などがSNSで拡散されたためでしょう。そうした新しい名勝のいくつかをご紹介していきましょう。

SNSはじめ、インターネットの影響で人気を博しているスポットに共通しているのはビジュアルの美しさです。秋の話でいうのなら、紅葉の鮮やかさだけでなく、窓越しに眺める庭の景色であったり、磨き込まれた床に映える木々の彩りだったりも重要なポイントになります。

蓮華寺

蓮華寺イチョウテレビの特集番組が人気の発端とも言われる、八瀬の蓮華寺(れんげじ)。紅葉の時期以外は参拝者もまばらなことから穴場スポットとなっています。

蓮華寺の紅葉の見どころについて

ここの見どころは、山門に至る石畳がイチョウの黄色に覆われている景色、その周囲を紅葉の朱が染め上げる眺め、そして書院から見る庭園の見事さなどです。この庭園は約400坪もの広さで、蓮華寺が再興された寛文年間(1661年~1672年)に石川丈山作によって作庭されたものだそうです。この庭園について少し詳しくお話しますと、形式は池泉廻遊式庭園(池泉鑑賞式庭園)であり、書院から鑑賞するような形となります。水字形の池を中心として、亀島(中島)・舟石・鶴石・蓬莱山の岩組・今枝重直の石碑などが配置されていて、亀島には唐人帽丸形と呼ばれる石灯籠が据えつけらています。なお、蓮華寺の池や水路は江戸時代前期に京都代官・五味藤九郎が鯖街道を挟んで流れる高野川から引いたと言われています。本堂は黄檗禅様式で、入り口には石川丈山が書いたとされる寺額が掛けられ、須弥壇には螺鈿厨子に収められた本尊・釈迦如来像が安置されています。この本堂周辺には六角形急勾配の笠をつけた蓮華寺形灯籠が2基建立されています。そんな庭園の紅葉は、詩仙堂の庭園がそうであるように、一歩下がったところから遠望すると、書院の柱を額縁として眺めるとあたかも額縁に入れた景画のようにも見えてきます。

撮影禁止のスポットについて

また、書院からスリッパに履き替え、庭を歩きながら本堂へと参拝できるようになっていて、撮影は書院の中からに限り許可されています。書院へ向かうまでの途中で写真を撮ると厳しく注意されるので頭に入れておきましょう。それにはちゃんとした理由があるようで、「お寺は、撮影スポットではなく、本来は自分や神様と向き合う場所。どこに座っても良いが、撮影の為に移動して欲しいと他の参拝者にお願いするのはやめて欲しい。撮影は、あくまでおまけであり、お寺をしっかり拝観するという目的を忘れないで欲しい。」とのことです。たまには、レンズを通してではなく自らの目で、そしてゆったりとした気持ちで紅葉を楽しむのも良いですよね。

蓮華寺の紅葉の見頃は?

蓮華寺の紅葉は例年11月中旬頃に見ごろを迎えます。訪れる時期によってはイチョウの黄色が鮮やかに、またある時はカエデの赤が鮮やかだったりと、ワンシーズンで何度か訪れても、その都度また違った色合いの景色が楽しめます。イチョウ・カエデの色付きよりも、お庭のカエデの色付きのほうが遅いこともあり、長い期間に渡って紅葉が楽しめるお寺です。池の周囲を紅葉が覆うように彩り、水面に写りこむ紅葉を鯉が乱すような光景も楽しむことができます。境内では、入ってすぐ左側に銀杏と紅葉が植えられ、タイミングが合えば散った銀杏と紅葉とのコラボレーションを見ることができ隠れた名所となっています。また、山門をくぐると敷もみじが目に入り、その右手には鳥居が顔を見せます。いたるところで紅葉と合わさった美しい景観が広がり、風がふけば紅葉の葉が舞い踊り、屋根の上にも積もります。そして地面に降り積もった紅葉や銀杏はじゅうたんのよう。真っ赤に染まった紅葉とフキの葉の緑色が美しいコントラストを生み出します。いろいろな媒体で取り上げられるようになってからは訪れる人も増え、穴場というのは難しくなりましたが、午前の早い時間帯を狙って訪れると、他の観光客の背中越しではない額縁絵の秋に出合うことも可能です。

蓮華寺へのアクセスについて

蓮華寺へは叡山電車に乗るのがオススメです。蓮華寺は八瀬比叡山口の一つ手前の「三宅八幡」という小さな駅で下車します。降りる人が少ないので乗り過ごさないように気を付けましょう。叡山電車は本数、乗車可能人数に限りがありますので、紅葉シーズンは混雑も予想されるのでなるべく朝早い時間から出かけましょう。蓮華寺は幹線道路から少し入った場所にあります。小さな小道を入るとクリアフォルダーに入った手書きの文字案内板があります。蓮華寺が穴場であることが伝わってきますね。蓮華寺へのアクセスについては、土日は渋滞や駐車場が満車になることもありますが、平日は空いている可能性も高いです。ただし付近にコインパーキングがないため、満車だった時に困ります。出来るだけ公共交通機関を利用することをおすすめします。
【正式名称】帰命山蓮華寺(きみょうざんれんげじ)【電話】075-781-3494【拝観時間】午前9時~午後5時【拝観料】400円 中学生以下は無料【アクセス】JR京都駅から市バスで45分・叡山電鉄三宅八幡駅下車徒歩5分【駐車場】専用駐車場有り「洛北蓮華寺駐車場」(無料)【住所】京都府京都市左京区上高野八幡町1

蓮華寺周辺の紅葉の名所

■八瀬もみじの小径:蓮華寺から徒歩約15分八瀬もみじの小径は、ケーブル八瀬駅のすぐ横に位置している散策路で、秋になると色鮮やかな紅葉で彩られます。美しい紅葉の中を散策できることに加えて、「平安遷都紀念橖」やラジオ塔、水力発電所跡なども見ることができます。【住所】京都府京都市左京区上高野東山八瀬もみじの小径【電話番号】075-801-5315(京福電鉄)【アクセス】叡山電車八瀬比叡山口駅下車、徒歩約5分・叡山ケーブル八瀬駅すぐ横■赤山禅院:蓮華寺から徒歩約20分古くは、「もみじ寺」とも呼ばれていた赤山禅院は、言わずと知れた京都の紅葉の名所です。見どこは、参道の「紅葉のトンネル」、そして11月~2月頃に咲くめずらしい品種の「寒桜」と紅葉との調和も赤山禅院ならではの素晴らしい風景です。【住所】京都市左京区修学院開根坊町18【電話番号】075-701-5181【拝観時間】9:00~16:30【拝観料】境内無料【アクセス】市バス「修学院離宮道」下車、徒歩約15分

瑠璃光院

瑠璃光院叡電八瀬比叡山口の改札を出て右手の桁橋(吊橋ではありません)を渡って右折した先にあるのが瑠璃光院です。京都市観光協会が行う特別拝観プランに参加するようになってから人気に火が付きました。書院から眺める瑠璃の庭が見どころで、書院の中央に置かれたテーブルの天板に庭の景色が映り込む様子は、床紅葉のような眺めを作っています。もとより広くない境内であることに加え、インスタ映えブームで話題になったこともあって、拝観が数時間待ちになることもあるとか。旅行会社とタイアップした事前申し込み型の夜間拝観も始めていますので、落ち着いた雰囲気を望むのであれば、そうした定員制のプランに参加するのがお奨めです。なお、瑠璃光院の紅葉は標高が高いため例年11月中旬頃に見ごろを迎えます。
【拝観時間】10:00~17:00【拝観料】2,000円【アクセス】叡山電鉄「八瀬比叡山口駅」下車徒歩約5分【駐車場】なし【住所】京都市左京区上高野東山55

実相院門跡

狩野派の襖絵や鮮やかな床紅葉で知られる門跡寺院です。鎌倉時代の初期に開かれ、応仁の乱の戦火を避けて岩倉に移転、江戸時代には皇族が住持を務めるようになり、岩倉門跡とも呼ばれるようになりました。近年は、インスタ映えブームの影響か、たくさんの拝観者が床紅葉の部屋ばかりに集中することになったので室内での撮影を一切禁止にしています。雑誌やテレビで紹介されるのと同じ具合での撮影をお目当てで出かけていって、現地で撮影禁止を告げられた場合は、印象が悪くなるのは仕方ありません。しかし、最初から写真は度外視しておき、あまり滞留の起こらない石庭を眺めて過ごすなどをすれば、それなりに楽しめる場所にはなります。襖絵の方も、有名な探幽筆の竹に虎図などは原則非公開ですが、特別拝観の期間などで公開されることもあります。なお、実相院門跡の紅葉の見頃は例年11月上旬から12月上旬になります。
【拝観時間】9:00~17:00【拝観料】大人500円・小中学生250円【アクセス】地下鉄国際会館駅からタクシーで約10分【駐車場】紅葉時期は一般車両の駐車場入場不可【住所】京都府京都市左京区岩倉上蔵町121

阿弥陀寺

古知谷阿弥陀寺大原の見どころは三千院または寂光院で決まりです。しかし、大原のバス停から徒歩にして40分〜50分ほど頑張った先にある古知谷の阿弥陀寺も捨てたものではありません。見頃に訪れると唐風山門の周りを飾る紅葉、長い参道を経て本堂前で出合う大カエデなどは十分な見どころです。境内自体はあまり広くないですし、特筆すべき美しい庭園があるわけではありません。しかし山門から境内に至る道中は、木立の中を延々と歩き続けることになり、新緑の頃の清々しさや秋の色づきには見るものがあります。三千院界隈からかなり遠いことも幸いしているのでしょう(バスはありますが本数が少ないので歩く方が早いのが実際です)、混雑に煩わされることはあまりない場所です。なお街なかの基準に比べると、かなり北に上っているので、紅葉の時期も1週間や10日ほど早めになります。阿弥陀寺の紅葉の見頃は、例年11月中旬~11月下旬になります。
【拝観時間】9:00~16:00【拝観料】400円【アクセス】京都バス「古知谷」バス停から徒歩約20分【駐車場】バス10台分:無料・自家用車30台分:無料【住所】京都府京都市上京区鶴山町 今出川上る二丁目鶴山町14

圓光寺

圓光寺の庭園詩仙堂の北、5分ほどのところにある圓光寺、ここも人気が高まりつつある拝観スポットです。江戸時代の初期に開かれた禅寺で、本堂の書院より眺める庭園の秋がよく紹介されています。一面、苔で覆われ、石灯籠やカエデの低木が配された庭園は、十牛の庭と呼ばれています。これは禅を志した者が悟りに至る過程を表す十牛図をモチーフとしたものとされ、中央の庭石は見る角度によっては、なるほど牛にも見えてきます。他にも富岡鉄斎筆の襖絵やたか女(村山たか、村山加寿江、井伊直弼の情人で尊攘運動で命を狙われる)の墓などがあります。
【拝観時間】9:00~17:00【拝観料】500円【アクセス】叡山電鉄一乗寺駅から徒歩15分・JR京都駅から市バスで約35分・一乗寺下り松町下車徒歩10分【駐車場】30台:無料(※11月は駐車場使用禁止)【住所】京都府京都市左京区一乗寺小谷町13

鷺森神社

鷺森神社の紅葉洛北エリアの人気上昇中スポットでは、修学院の鷺森神社も挙げておきましょう。約200メートルほど続く参道両側の木々が染まる季節にはみごとな景観を呈してくれます。また本殿もちょうどいい塩梅でまわりの木立に覆われるので、森の社のような風格を漂わせています。ちなみに、鷺森神社のご祭神はスサノオノミコト。境内にはスサノオノミコトの和歌にちなんで八重垣と命名された石が置かれています。なんでもこの石に触れると悪縁を絶ち、良縁が導かれるのだとか。その方面でお悩みがある方はぜひお試しください。
【拝観時間】境内自由【拝観料】無料【アクセス】市バス「修学院道」、叡山電鉄叡山本線「修学院駅」下車徒歩約10分【駐車場】5台:無料【住所】京都市左京区修学院宮ノ脇町16

紅葉狩りの歴史について

京都のみならず日本全国で、春は花見、秋には紅葉と、日本を象徴する文化のようになっている紅葉狩りですが、その歴史はいつから始まったのでしょうか?結論から申しますと、紅葉狩りは「平安時代から貴族によって」広められていったそうです。邸宅にモミジを植える人もいたり、紅葉の名所へと出掛けたりしたのが始まり。紅葉狩りでは、紅葉した木々の枝を折って、手の平にのせて愛でることもあったそうです。真っ赤や黄金色に高揚した葉の美しさは時代を問わず人々の心を癒やしたのですね。その後、室町時代には徐々に庶民にも広がっていき、江戸時代の中期には庶民の行楽として人気を集めたそうです。ちなみに、奈良時代末期に完成したと言われている日本最古の和歌集「万葉集」には、モミジの美しさを詠んだ和歌が記されています。

まとめ

いかがでしたか?古くから愛されてきた、秋の紅葉、赤に黄色に色づいた木々たち・・・今では時代も随分変わり、「インスタ映え」などといった表現が生まれるだけあって、いかに写真に美しく収められるか。写真映えには京都の紅葉は間違いなしといったところでしょうか。それでも蓮華寺をはじめとした、美しい紅葉や庭園を持つスポットにはぜひ実際に足を運んでリアルな美しさを体感してみて欲しいなとも思うものです。写真だけでも映える景色ならば、生で見たらいかに美しいのか、想像するに難くはないですね。皆様に京都の紅葉、蓮華寺の魅力が、少しでも伝わったのなら幸いです。