歴史深い山里に佇む「三千院」 杉木立と苔が織り成す自然の美

三千院出典:【三千院】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet

天台宗五門跡の一つで、古来多くの歌に詠まれた大原の地に佇む「三千院」趣向を凝らした美しい庭園には、静寂とマイナスイオンが漂っています。秋は紅葉に包まれる山里の寺院で、すがすがしい空気と神聖なパワーを感じましょう。

三千院のどかな大原の里に佇む三千院は、延暦年間(782~806)に伝教大師・最澄が、比叡山延暦寺を建立した際、東塔の梨の木の下に草庵を開いたことがはじまり。貞観2年(860)には、本尊の薬師如来像が安置され、円融房と名付けられました。その後、滋賀県の坂本(現・大津市坂本)に移り、堀河天皇の第2皇子最雲法親王が入室。以来、法親王が住持を務め、梶井宮・梨本門跡と呼ばれる門跡寺院となりました。明治4年(1871年)に、古来天台声明(しょうみょう・仏教音楽)の根本場が開かれた祈りの地である大原に移り「三千院」と名づけられ、今日まで歴史をつないでいます。写真は、一面に広がる青苔と、その向こうに見える「往生極楽院」です。

木々に囲まれる往生極楽院と国宝・阿弥陀三尊坐像

三千院平安時代末期に恵心僧都(源信)と姉安養尼が建立したと伝えられる「往生極楽院」。ほぼ当時の面影を残す御堂内部には、藤原時代の貴重な遺産とされる国宝の阿弥陀三尊坐像が鎮座しています。約2m30cmの高さを誇る阿弥陀如来坐像に、脇侍の観音・勢至菩薩(せいしぼさつ)は、女性的な大和坐りの美しい姿を見せています。

静寂が涼を感じさせる美しい青苔の「有清園」

三千院青苔が絨毯のように広がり、清々しい空気が流れる「有清園(ゆうせいえん)は、往生極楽院と宸殿の間に杉や檜の木立が並ぶ日本庭園。御堂の東側には、山畔を利用して三段組となった「細波の滝」が流れ、秋は紅葉と見事に調和しています。園内の所々に、柔和な顔が印象的なわらべ地蔵が安置され、訪れた人の心を和ませています。やわらかい表情のわらべ地蔵は杉村孝氏の作です。三千院園内の池泉には、錦鯉が優雅に泳いでいます。

重要な儀式の場とされた「宸殿」

三千院大正15年(1926年)に、宮中行事だった御懺法講(おせんぼうこう)の儀式を執り行うために建てられた「宸殿」は、御所の紫宸殿を模した白木造りになっています。本殿正面には、秘仏・非公開で伝教大師最澄作と伝えられる本尊・薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)を安置。向かって右には歴代天皇の尊牌を、左には歴代法親王の尊牌が祀られています。毎年5月30日に、歴代天皇の御回向である御懴法講が、厳かに執り行われます。

客殿から眺める優美な「聚碧園」

三千院魚山(ぎょざん)の自然美に感動した江戸時代の茶人・金森宗和が手を加えた庭園「聚碧園(しゅうへきえん)。客殿の向こうに広がる景色は、茶聖・千利休の流れを汲む宗和流の茶道のように優美で清楚。杉木立の向こうに立つ往生極楽院の姿が、一層庭園の立体感を深め、まるで絵巻物のような美しいパノラマを味わえます。庭内の池泉の源は、声明の用語より名づけられた「律川(りつせん)」です。カエデ京都マエストロページへ

光と祈りに満ちた「万灯会」

三千院夏のお盆の時期に行われ、世界平和・諸願成就を祈願する「三千院万灯会」。祈りを込めて献灯されたローソクを1本灯して、先祖の精霊を回向します。光に浮かぶ往生極楽院や観音堂が、幻想的な光景を映し出します。[hr][/hr]

三千院(さんぜんいん)TEL.075-744-2531●京都市左京区大原来迎院町540 ●京都バス停大原から徒歩10分 ●無休