
清閑寺は清水寺の影に隠れてひっそりと佇むかのような山寺です。かつては清水寺と勢力を競ったとか、「歌の中山」との異名を轟かせていたとかのことですが、現代ではほとんど見向く人もいない穴場中の穴場です。しかしながら、歴史面でも文化面でも、さらには景観面でも見どころにはこと欠きません。
[その先に「歌の中山、清閑寺」がある]
清水寺を拝観する際、多くの人は仁王門から三重塔の横を通って舞台で有名な本堂に向かいます。そして奥の院を経て子安の塔に立ち寄る、もしくはそれを省略して錦雲渓に下り、音羽の滝で願掛けをした後、今度は下から舞台を見上げながら三重塔の下を通って仁王門前に戻ってきます。一般に指定されている順路がそうなっているからです。逆コースで歩いてみるへそ曲がりさんがいたとしても、それはそれでも構いません。しかし、さらに輪を掛けて天邪鬼になるのなら、奥の院から錦雲渓にも子安の塔にも行かず、東門から外に出てしまうことも可能です。東門から外に出て何が面白いのかと問う向きがいるとすれば、お答えします、その先に「歌の中山、清閑寺」があると。

