【更新:12月19日現在 紅葉の状態:終わり近し】
京都の紅葉を見に行こうと予定を立てられる方は、真如堂(しんにょどう)を候補に入れてみてはいかがでしょうか。京都大学の東側に聳える吉田山。その吉田山を含む丘陵地帯が神楽岡です。その南側の一帯を占める”黒谷さん”こと金戒光明寺で、北接するのが真如堂です。天台宗のお寺で、真正極楽寺という正式名称ですが、その本堂の名、真如堂の異名として親しまれてきました。京都の紅葉スポットとして壮観で、三重塔を取り囲む様に紅葉が見事な景観を作ります。石畳の参道も両側にカエデがトンネルをつくり、定番の撮影スポットです。散紅葉も美しく、長く紅葉を楽しめます。
真如堂(正式には真正極楽寺という。)は洛東の丘陵地、神楽岡に開かれた女人救済の道場でした。天台宗の寺院であり984年(永観2年)に戒算上人が開基しました。毎年11月5日から15日まで「お十夜」といものが行われます。(21年度は中止)これは阿弥陀さまへの報恩のための行事で、中風除け(おもらし止め)の十夜粥がふるまわれます。また、お十夜は別名「蛸十夜」とも呼ばれていて、十夜念仏の期間中に蛸を食べると病気にかからないそうです。そして、結願日である15日には阿弥陀如来立像が御開帳されます。洛中各地を転々とした後、旧地に復し、現代では紅葉の名所として人気を博しています。南に隣接する「黒谷さん」こと金戒光明寺とともに墓参スポットとしても有名な真如堂の楽しみ方を、簡単におさらいしておきましょう。
所在地:京都市左京区浄土寺真如町82
電話:075-771-0915
拝観時間:9:00~16:00(受付終了15:45)
拝観料:【本堂・境内】無料・【宝物・庭園】500円(11/1~12/8は特別拝観につき1,000円)
アクセス:【市バス】「真如堂前」・「錦林車庫前」下車徒歩約8分
[真如堂の歴史]
京都大学の東側に聳える吉田山。節分の夜に賑わう吉田神社のある場所です。この吉田山を含む丘陵地が神楽岡です。この一帯の地形は、大文字山の火床から見下ろせば、こんもりと緑に茂っているので、その特徴がよくわかります。そして、その神楽岡の南の方の大部分を占めているのが黒谷こと、金戒光明寺で、今回のテーマとなる真如堂は金戒光明寺に北接する天台宗のお寺です。
真如堂の由緒を紐解くと、平安時代の前期に一条天皇の母、東三条院詮子の離宮に阿弥陀如来像を奉納したことに始まります。神楽岡にあったこの離宮が女人救済の道場に改められ、極楽浄土を願う正真正銘の場所という意味をこめて真正極楽寺となりました。真如堂とは、その本堂の名前なのですが、古くから極楽寺全体の異名として親しまれてきました。平安時代、鎌倉時代を通じて、真如堂は神楽岡で営まれていましたが応仁の乱に際して比叡山山中に逃れて以降、各所を転々とします。洛中の各所、現在に残る真如堂町や元真如堂町などの町名は、真如堂がかつてその地に存在していたことの名残です。さて、このように移転を続けていた真如堂が旧地に戻るのは、江戸時代になってからのことでした。以来、現代にいたるまで黒谷さん(金戒光明寺)と並んで神楽岡の名刹として広く親しまれています。
[紅葉の新名所として]
普段は近隣の方たちがのんびりと散歩などをしているのどかな境内ですが、紅葉シーズンを迎えると雰囲気は一変します。三重塔を取り囲むように植わっている木々が葉を紅に染め、みごとな景観をつくるからです。
その様子は、石畳の参道の両側にカエデが盛大に枝をはり、奥には三重塔が見えます。まるでカエデ林の中にお寺があるようです。
真如堂の紅葉のメインは、本堂と三重塔の周辺です。ここは定番の撮影スポットでもあり、三重塔の塔と紅葉の二つが収まるようにして少しアップ気味で撮影すると、人が写り込む心配もなく良い雰囲気で写す事が出来ます。また真如堂の紅葉は、低い枝がある事も特徴なので、紅葉と一緒に記念撮影なんてこともスムーズに出来ます。
また本堂の前から西に降りていく石畳は、まさに紅葉のトンネルのようになります。赤や黄色に紅葉した桜・カエデ・モミジなどが、常緑樹で残された緑と重なり合って、圧巻の光景です。中でも特に美しいと言われるのが紅葉が夕日を浴びる瞬間です。
その年の気候にもよりますが、境内の紅葉のピークは11月下旬過ぎです。本堂の裏などはもう少し長く12月上旬頃まで楽しむことが出来ます。 この頃の本堂裏は、散った紅葉が地面一面に敷き詰められた美しい光景を見る事が出来ます。紅葉の絨毯ともいえる光景を、ぜひ見てみて下さい。また、写真にある総門から本堂へ続く緩やかな石畳は、例年12月上旬を迎えると「散り紅葉」の石段の如く美しい風景となります。
もうひとつ、真如堂の魅力、それは境内の拝観料金が必要なく、無料で観賞する事が可能な点です。しかも、さほど混雑もしません。真如堂の紅葉が一番美しいとされている夕方の時間帯ですら、それ程混むことはありません。京都の紅葉をゆったりと観賞したい、そんな方にはぜひ真如堂の紅葉がオススメです。以下基本情報ですが、例年の紅葉見頃は11月下旬~12月上旬になります。紅葉する木の種類はカエデ・モミジ・イチョウ・ハナノキ・ウルシです。
くろたにさんと真如堂、丘陵をのぼる散策コース
さてそうした真如堂、アクセスについて少し説明しておきましょう。白川通に「真如堂前」という市バス停留所があります。公式にも最寄りの停留所として紹介しているのですが、そこからなら10分ほど坂道を登った後、裏参道から境内に入る形になります。それなら最初からタクシーを使って門前に乗り付けるとか、歩くにしても黒谷(金戒光明寺)と抱き合わせにしておいて、丸太町通からアクセスするとかの方がすっきりしています。また神楽岡の雰囲気を味わうという意味で、今出川通から20分ほどかけて歩く選択肢もありますので、最短を選ぶのか、寄り道承知で長めのアクセスにするのかは、それぞれでお考えください。
[2種類のご朱印]
ところで、真如堂に対する観光目線での注目は近年のものと書きましたが、近年の流行で御朱印集めの方面から、この真如堂が注目されることもあります。それは本堂受付でいただける真如堂の御朱印とは別に、境内にある新長谷寺でも別の御朱印がいただけることになっているからです。もっとも、実際には新長谷寺の方は、真如堂の境内にある小さなお堂なので、いつも堂守の方がおられるわけではありません。それで御朱印の方もいつ訪れてもいただけるというわけではないのですが、一つの場所で2枚の御朱印(がいただける可能性あり)というのは、コレクションを楽しんでいる方にとっては、魅力的なことなのでしょう。
お庭の四季と美術も真如堂の魅力
真如堂の歴史と紅葉をめぐって色々とご紹介してきました。次に、真如堂のお庭、境内で感じる季節の草花の彩りも綺麗で、四季を通じて見どころの多い名刹です。70本もの桜に包まれる境内、山茱萸の黄色や、藤、紫陽花に、もちろん、青もみじから、紅葉まで多彩です。お庭は東山三十六峰を借景とした枯山水「涅槃の庭」と、モダンな「随緑の庭」は、心穏やかに、一日中眺めていたい情景です。涅槃図や曼荼羅の特別公開もあり、江戸・明治・昭和に渡る襖絵も書院を飾ります。
真如堂周辺の紅葉の名所
南禅寺
秋になると、約4万5000坪という広大な境内を色鮮やかな紅葉が埋め尽くす南禅寺。小堀遠州が作庭した方丈庭園や楼上からの臨む京都市内の風景が見どころです。
所在地:京都府京都市左京区南禅寺福地町
電話:075-771-0365
拝観時間:3~11月 8:40~17:00(受付終了16:40)
拝観料:【境内】無料・【三門】500円・【方丈庭園】500円
アクセス:【バス】「南禅寺・永観堂道」下車徒歩約10分、【電車】地下鉄東西線「蹴上駅」下車徒歩約10分
永観堂(禅林寺)
古今和歌集で「もみじの永観堂」と詠われているように、古くから永観堂は紅葉の名所として知られています。鮮やかに彩られた境内は、圧倒的な美しさです。
所在地:京都市左京区永観堂町48
電話:075-761-0007
拝観時間:9:00~17:00(最終受付16:00)
拝観料:大人600円・小中高生 400円(夜間拝観:一般(中学生以上)600円)
アクセス:【電車】地下鉄蹴上駅から徒歩約15分・【バス】南禅寺・永観堂道下車徒歩約3分
いかがでしょうか。
秋の真如堂は、紅葉の美しい魅力的な京都のスポットであるとご理解いただけましたでしょうか。周辺には南禅寺や永観堂など紅葉名所もありますので、秋の一日を京都で楽しんではいかがでしょうか。京都の古き街並みとお寺、伝統が紅葉と相まって、素晴らしい思い出になる一にとなるはずです。