
賀茂川と高野川が合流して鴨川と名前を改めるスポットが出町柳。かつては学生街としての賑わいもあった場所で、通称「鴨川デルタ」では往時の記憶をつなぐ学生たちが、春の新歓などの野外コンパも時折催しています。時代が移りゆく中で場所のイメージも変遷、現在では京都では有数のアニメ聖地?と目されるに至っています。
出町の柳
市街地を出る場所、出町
学生たちの街、出町
またそれとは別に東に京都大学、西に同志社大学があることで学生街の一角というカラーも定着しています。数十年前までは立命館大学も近くにあり、まさに京都を代表する学生街が出町界隈でした。現在では通学する学生数の多さから京都大学のお膝元である百万遍界隈がシンボリックな学生街と見なされています。しかし京都大学・同志社大学・立命館大学のトライアングルが形成されていた頃は出町界隈の方が学生を対象としたお店も軒を連ねていたのでした。さてそんな出町柳の見どころを並べるなら、真っ先に挙がるのが「出町の三角州」です。賀茂川と高野川が合流する部分に形成されている三角形の台地に対する通称です。地理学的にいう三角州は大きな河川が海に出る河口に形成される堆積土の地形なので、正確な意味での三角州ではありませんが「出町の三角州」「出町のデルタ」などの通称がまかり通っています。実は、高野川と賀茂川が合流するこの場所には糺河原や出町の剣先などの呼び名もありました。ところが今ではそちらの方が通じなくなっているようです。大文字山を真っ正面に見上げるロケーションで、ちょっとしたピクニック気分が楽しめるスポット、春ならお花見、暑い季節なら水遊びのできる場所として人気を博しています。アニメ天国、出町
出町柳の秋
こうして眺めていくと、出町界隈は東山や嵐山のような紅葉スポットとして認知される場所ではありません。しかしエリアを広めに考えるなら京都御苑も近傍に入ってきます。京都に暮らしている人なら建造物だけでなく、御苑全体を「御所」の名で呼び習わしていますが、御所をカウントすればあらゆる季節色が含まれますので、出町界隈に紅葉の楽しみがないわけではありません。もちろん一面のイロハモミジやオオカエデが赤々と染まる印象こそが秋の醍醐味というのも頷けます。しかし、それはそれとしておいて、鴨川を吹き抜ける秋風や過ぎゆく学生さんたちの姿格好に季節の移ろいを感じるのもまた一興なのではないでしょうか。

