西山の名刹・善峯寺、紅葉の名勝としても知られる山寺は意外と穴場っぽいところも。理由は「西山」だから?

【更新:11月12日現在 紅葉の状態:色付き始め】

京都観光の中で見落とされがちになるのが「西山エリア」。北山や東山を独立したエリアにするなら西山という分け方も必要、とはいうものの扱いが常に低いのが西山の西山たる所以。そんな西山でも紅葉スポットとしての善峯寺はネームバリューが抜群西山のエースとして君臨する名刹、善峯寺をクローズアップ。

京都は三方を山でぐるりと囲まれた街です。三方の峰々はそれぞれ東山、北山、西山と呼ばれています。ところが観光目線で眺めた場合、東山や北山に比べると、西山の影は少しばかり薄いように思われます。 そうは言っても人によっては愛宕山や嵐山を西山に加えることもありますので、西山にも人気スポットとしての重々しいポジションは用意されるはずです。そうであるにも関わらず、西山の影が薄いと感じるのは、嵐山や愛宕山などは市街地から西方にあるには違いないのだけれども、それらを西山に含めずに別個に扱っているケースです。 そうした扱いに準じるのなら、京都市の中心付近の市街地というよりはむしろ伏見区や向日市の西側に並ぶ峰々が西山と認識されることになります。具体的には長岡京市と高槻市を隔てる天王山からポンポン山へと続く山並みがそれです。 こうなってくると、京都の観光地というよりは、長岡京市や向日市の観光地といった雰囲気にもなってきますので、どうしても影が薄くなるということなのでしょう。しかしながら、現在の行政区分を厳密に適用すると、このエリアを代表する名刹、善峯寺が京都市西京区になりますので、見方もいくらかは変わってきます。東山に清水寺や東福寺があるように、西山にも善峯寺や粟生光明寺のような紅葉名所があるという具合になってくるわけです

善峯寺、沿革その他

さてそうした善峯寺ですが、沿革から簡単に振り返っておきます。寺伝によれば平安時代の中期、源信僧都の弟子、源算が創建したとされ、歴史書の『愚管抄』を著したことでも知られる鎌倉時代の大僧正慈円もこの地に依ったと言います。善峯寺という寺号が世の中に広く知られるようになるのもこの頃で、後鳥羽天皇より慈円上人が「善峯寺」の勅額を賜ったことに由来するとも言われます。 鎌倉時代には、皇室からの庇護もあったり、青蓮院門跡と深い繋がりができたりした結果、山内に50を越える僧坊が営まれるなど隆盛を誇りました。しかし応仁の乱によって伽藍の多くは灰燼に帰してしまいます。 そうした善峯寺が大規模に復興するのは江戸時代、五代将軍綱吉の母、桂昌院が自らの出生の縁で善峯寺に帰依したことによります。明治時代には廃仏毀釈の煽りも受けますが、現在では20近くの堂宇が並ぶ寺観を誇っています。境内全体が山の中腹にあることもあって、春や秋には季節の彩りが楽しめる寺として知られるようになりました。

紅葉道楽のすすめ

桜や紅葉の観賞は色づきのいい木を間近で眺めるのも悪くありませんが、広い範囲に展開する木々を俯瞰すると、圧巻と呼ぶに相応しい景観に出会えることもあります。善峯寺で楽しめるのは、まさにそうした形での紅葉です。山門をくぐって順路を進んで薬師堂のあるもっとも高度のある場所までくると京都盆地の市街地を一望するスポットがあります。ここから眼下の紅葉を眺めるのが善峯寺の秋を楽しむスタイルとなっています。 清水寺の場合、本堂の舞台より眼下の錦雲渓を眺めおろすことになるのですが、それより遥かに大きなスケールで山全体を眺めることになりますので贅沢な楽しみ方といっていいでしょう。 また拝観の順路を辿ってくる中では、個別の木々が色づいているところを間近で眺めながら通り過ぎる場所もたくさんありますので、善峯寺全体でいえば、バリエーション豊かな秋が楽しめることになります。
令和5年 紅葉期 特別早朝開門
昨年の紅葉期早朝開門が好評につき本年も行います。 天候が良ければ、早朝の輝かしい旭光が境内諸堂や色づいた紅葉を照らします。 京都の西山ならではの静寂な雰囲気の中、観音さまに手を合わせてお参りの上、自然を感じて清々しく師走を乗り越えて頂ければ幸いです。

令和5年11月11日(土)・12日(日)・18日(土)・19日(日)・23日(祝)
開門時間:午前6時30分

アプローチは混雑?

ところでこの善峯寺は、秋の紅葉が喧伝されているだけあって、混雑が気に掛かるところです。見頃とされる11月下旬(山の中腹なのでもう少し早まる可能性もあります)の週末なら、善峯寺に向かう府道208号線がやらた渋滞していたとか、駐車場に車が入れないとの話も耳します。 しかし、境内に入ってしまうと、人混みが気になるような状況ではなくなります。永観堂や祇王寺と違って、境内の広さが幸いしているのでしょう。マイカーを使わずに公共交通機関を使うとすれば、JR向日町駅または阪急東向日駅から1時間の1本のバス(阪急バス66番、善峯寺行き)に乗って30分、下車後徒歩約8分と、利便性の面では難がありますが、午前中の早い時間帯の便を利用すれば、相当に快適な善峯寺の秋が楽しむことができます。

西山三山

なお、善峯寺は、粟生光明寺と楊谷寺と合わせて西山三山と呼ばれることがあります。善峯寺以外は長岡京市ということもあって、こうした括りが京都関連の情報誌で大きく取り上げられるのは多くありませんが、3つとも紅葉名所として有名なところです。

善峯寺の基本情報

【所在地】京都府京都市西京区大原野小塩町1372
【電話】 075-331-0020
【拝観時間】開門時間 8:00~17:00(最終入場は16:45まで)
【拝観料】大人:500円・高校生:300円・小中学生:200円
【アクセス】電車:①JR「向日町駅」で下車し、阪急バス66番(善峯寺行き)へ乗り継いで30分(終点)の「善峯寺」で下車、徒歩8分。
②阪急「東向日」駅で下車し、阪急バス66番(善峯寺行き)へ乗り継いで30分(終点)の「善峯寺」で下車、徒歩8分。

善峯寺

住所:〒610-1133 京都府京都市西京区大原野小塩町1372

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善峯寺から足を伸ばしたい紅葉スポット

鷹峯(源光庵)

素晴らしいカエデの紅葉で有名な鷹峯(源光庵)。 本堂の丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」からの紅葉もお楽しみください。※源光庵は現在、庫裏改修工事の為2021年秋頃まで拝観を中止しています。
【所在地】京都府京都市北区鷹峯北鷹峯町47
【電話】 075-492-1858
【拝観時間】9:00~17:00(紅葉シーズンは8:30~16:30)
【拝観料】400円(紅葉シーズンは500円)
【アクセス】バス:地下鉄烏丸線北大路駅からバスで約15分、「鷹峯源光庵前」下車徒歩1分

源光庵

住所:〒603-8468 京都府京都市北区鷹峯北鷹峯町47

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北野天満宮

北野天満宮は、全国に12000社あるとされている全国天満宮・天神社の総本社です。 「もみじ苑」では、約350本の鮮やかな紅葉を鑑賞することができます。どこを切り取っても絵画のような美しい光景ですが、特に川の水面に映りこんだ紅葉の様子は必見です。
【所在地】京都府京都市上京区馬喰町
【電話】075-461-0005
【開門時間】6:00~17:00(ライトアップ期間は~20:00)
【拝観料】もみじ苑大人1000円、小人500円(茶菓子付き)
【アクセス】バス:JR京都駅からバス50・101号で「北野天満宮前」下車、徒歩すぐ

北野天満宮

住所:〒602-8386 京都府京都市上京区馬喰町

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