【更新:11月12日現在 紅葉の状態:色付き始め】
京都と言えば、紅葉や歴史的建造物が作り出す景観を想像する方が多いかと思います。そんな中でも紅葉そして、苔と青もみじで有名な常寂光寺をご存知でしょうか?小倉山の山腹になす常寂光寺で、秋には紅葉の絶景、春にも新緑まぶしい青もみじと、京都ならではの美しさに出会えます。その常寂光寺の歴史や魅力を詳しくお伝えします。
常寂光寺を覆い尽くす紅葉
常寂光寺は、京都嵐山の駅から徒歩15分、竹林の小径出口から5分の処です。そして境内は歌枕で有名な小倉山の山腹にあり、塀の無いお寺としても名高い名刹です。先ず入口の山門から仁王門までの参道は、まさに「紅葉のトンネル」を為し、仁王門からの山肌にそって連なる階段の参道まで見通すアプローチは紅葉の絶景です。境内の庭園には200余本のカエデが植えられており、秋には全山が紅葉に包まれます。
苔むした庭と散り紅葉
苔むした境内は良く手入れが行き届いており、その上に舞い散る「散り紅葉」は京都ならではの風情を醸し出します。本堂もカエデに覆われ、更に奥へと足を延ばすと多宝塔があって更に展望台に辿り着きます。嵯峨野を一望できる絶景に夕日に映える夕景も是非、一見の価値が有ります。
12月にはいっても、未だ常寂光寺さんは、紅葉狩りを楽しめます。そして、この散り紅葉の真っ赤と、苔むしたお庭の景観は一見の価値有りです。是非、観光シーズンも終わり掛けの今、落ち着いた京都の名刹をご覧ください。
常寂光寺の歴史とは
常寂光寺は、自然の中に佇む寺院として今では多くの方が訪れる寺院です。この自然の中に存在するという形を作り出しているのは、普通の寺院にはあってこの寺院にはない「堀」の存在が大きいと言えるでしょう。堀があると、やはり寺院としてきちんと土地が区分けされているような感じがしますが、それが無いと周りの景色に自然と溶け込んで行く事が出来るのです。 さて、常寂光寺の歴史を紐解いていくとしましょう。こちらを建てた日禎上人とは、18歳という若さで日連宗の大本山の本圀寺の住職になったと言い伝えられています。
お寺が出来たのは、今から400年以上も前の事になります。日禎上人の隠遁所として建てられました。隠遁所とは、今で言うと隠れ家的な存在と言えるでしょう。そこから歴史を重ね、今の寺院という形になりました。なぜここに隠れ家を作る事になったかというと、日禎上人は、1595年に豊臣秀吉より千層供養に参加するようにと命を受けます。しかしながら、これに参加する事で、日蓮上人の教えに背く事になってしまう為、参加はしない事を選びます。この豊臣秀吉の命に対しての意見の対立により、日禎上人は本圀寺を出る事となりました。そこで隠遁所が建てられたのです。そこからは力を持つ大名達によって、隠遁所から常寂光寺という寺院へと繁栄を遂げていきます。小早川秀明の力添えによって、安土城客殿をこちらに移し、それが今の本堂になります。
また1620年には常寂光寺のシンボルとも言える高さ12mもの多宝塔が建てられました。この多宝塔は、国の重要文化財に指定され、京都の様々な冊子や写真などに起用される程、今でも多くの人に愛されている建物とも言えるでしょう。
【初夏の京都に色鮮やかに映える「青もみじ」が新たな京都の発見】
「もみじ」といえば、紅く色づいた秋の楓(カエデ)を思い浮かべる方々も多いと思いますが、「青もみじ」とは、春(4月頃から)の若葉からどんどん深みを増す、緑の若い楓のことをいう。日本には「楓」の品種が実に30種類程度もあり、そのうち「もみじ」と呼ばれているのは、紅い色づきが特に綺麗な品種だけだといわれている。そして、「もみじ」の名所は、初夏の「青もみじ」においても見事な姿を見せてくれるのである。
常寂光寺でしか見られない青もみじの景色
常寂光寺は紅葉でもかなり有名なスポットではありますが、ここでご紹介したいのは、秋のシーズンではありません。おすすめなのが、青もみじの景色です。この青もみじの景色には、もうひとりの主役がいます。それが苔になります。この景色を見たい方は、5月から7月に訪れるのがおすすめです。常寂光寺の境内には、約200本ものもみじが植えられており、5月頃からそのもみじ達が一斉に新芽を出します。そしてその中で、1番のおすすめのピンポイントな時期は、梅雨のシーズンです。雨によって湿った苔の美しさと、もみじの葉の上にのる雫の美しさは、なんとも京都らしい静寂の中の美しさと言えます。特に入梅の頃になると、独特のしっとり感に惚れ込んで、近年は「青もみじ」の清々しさが人気となり、人混みばかりの秋の紅葉時期を避けて、この季節ばかり訪ねてくる旅行者が多くなっています。まず常寂光寺は入った所から、その美しさと佇まいにうっとりする事でしょう。山門から仁王門へと続く道は、まるで来訪者を心穏やかに迎えるような雰囲気になっています。仁王門に辿りついたら、正面の石段には行かずに、右に進みましょう。そこにあるのが末吉坂です。実はここは、「そうだ、京都、行こう」のキャンペーンでも使われている場所なので、一度自分の目でその美しさを感じていただきたいものです。
常寂光寺の御朱印
常寂光寺で御朱印が頂ける場所は、拝観受付所になります。時間は、午前9時~午後5時になります。御朱印の種類は、5種類になります。「福寿海無量」「宝樹多花果」「唯佛与佛」「南無妙見大菩薩」「百花百香」の墨書きで、全て書置きです。オリジナルの御朱印帳は、残念ながら今の所はありません。
常寂光寺のアクセス
常寂光寺への直接のアクセス方法としては、お薦めはバスになります。京都駅から常寂光寺までのバスの所要時間は約55分で、C6乗り場の28号系統バスで嵐山・大覚寺行きへ乗車し、嵯峨小学校バス停で下車します。そこから徒歩5分程で常寂光寺に到着します。電車ではJR嵯峨嵐山駅、嵐電の嵐山駅から徒歩15分、阪急嵐山線の嵐山駅から徒歩20分程です。また嵯峨野観光トロッコ電車嵐山駅より徒歩3分。トロッコ列車は前売り券などがスムーズです。せっかくですから、嵐山観光の1日として周辺もじっくり回られる事がおススメです。
■拝観料 500円
■駐車場 5台
常寂光寺の周辺も、紅葉の見所多い
天龍寺
天龍寺とは、暦応2(1339)年に、足利尊氏が後醍醐天皇を供養するために建立した寺院であり、古都京都の文化財のひとつでもあります。古都京都の文化財とは、京都にある17か所の寺社仏閣の世界遺産のことを差します。こんなにも多くの歴史的に価値のある建物がある京都は大変素晴らしい町であることがわかります。京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町にある、臨済宗天龍寺派大本山「天龍寺」。天龍寺は「京都五山」の第1位に列し、別格である「南禅寺(なんぜんじ)」を除いて、京都で最も格式の高い禅寺と言われています。
諸堂(大方丈・書院・多宝殿)・庭園参拝料に300円追加・8時30分~16時45分 [受付終了16時30分]
■行事等により諸堂参拝が出来ない日がございます
法堂「雲龍図」特別公開・一人500円(上記通常参拝料とは別)・9時~16時30分 [受付終了16時20分]・法堂参拝受付は法堂の西側にあります
■土曜日・日曜日・祝日のみ公開[春夏秋は毎日公開期間あり]
■雲龍図(法堂)参拝休止日:2022年1月1日~2日など
二尊院
総門の先にまっすぐ伸びる「紅葉の馬場」。紅葉を冠する名前に恥じず、参道の両側には鮮やかな彩りが並びます。しかし、二尊院の魅力はそれだけではありません。秋色探しに留まらず、角倉了以や阪東妻三郎など著名人のお墓参り、法然上人をめぐる歴史探訪、切り込み方次第でさまざまな顔と出合うことができます。
一般 /大人(中学生以上):500円小人(小学生以下):無料
祇王寺
京都の紅葉名所として名高い祇王寺。祇王寺と言えば、多くの方が紅葉を想像するほどではないでしょうか。祇王寺を見てもらいたいのは、秋の季節だけではありません。その季節は、なんと梅雨になります。苔と青もみじが作り出す景色は、静寂の中の神秘的な美しさと言えます。雨と言うと、なんとなく出かけるには適さないように感じますが、京都ではその雨もまた風情を引き立ててくれる大事な存在と言えます。さて、そんな魅力溢れる祇王寺について詳しくみていくとしましょう。歴史も知った上でご覧になるとまた違った見え方も発見出来るかもしれません。ぜひ祇王寺に行く前にお読み頂けると幸いです。
嵐山
京都・嵐山は京都市の中心街から少し離れていることもあり、最も紅葉が美しい時期がやや遅めです。嵐山には、古都京都らしい風情ある寺院などが数多く点在しているため、季節を問わずたくさんの観光客が訪れます。紅葉の名所としても有名なスポットが多く、一日中楽しめるのも嵐山の魅力の一つです。
嵯峨野トロッコ列車
京都の紅葉シーズン、混雑必須で人気ぶりがあるのが、トロッコ嵯峨駅~トロッコ亀岡駅間7.3キロを約25分間でつなぐ嵯峨野トロッコ列車です。平均速度は時速約25キロ、とふつうの電車よりゆっくり保津峡沿いを走ります。紅葉時期は乗るのが難しいと言われる嵯峨野トロッコ列車ですが、チケットを事前に購入しておく事、ツアーに参加する事などでスムーズに乗車する事も可能です。ご紹介する内容を参考に、ぜひ楽しんでみてください。
まとめ
常寂光寺の歴史や魅力について、おわかりいただけましたでしょうか?まだまだお伝えしきれない部分もあったかと思います。しかしながら、常寂光寺へと足を運び、まだ知らない魅力を自分の目で確かめて見るのも新しい旅の楽しみ方ではないでしょうか。自分だけの発見をしに、常寂光寺へと足を運んでみてはいかがでしょうか。